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ワンピース〜ただ側で〜
第8話『新たな高み』
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 ジンベエの小声に、ハントが小さく笑みを見せる。ともすれば談笑ともれる彼らの様子を見て、エースが面倒そうに問いかけた。

「おい、ぼろいの。俺は白ひげに会いにきたんだが?」
「いやー、俺も特に邪魔するつもりはなかったんだけどさ」
「邪魔するつもりがないならどけ」

 ハントに興味を示すことすらなく、言い捨てる。
 遠まわしに眼中にないと言っているともとれるようなエースの態度だが、ハントはそれを聞いて反応を示すでもなく淡々とした表情でエースを見つめ、そして笑う。

「お前が俺より強いって聞いて、挑みたくなった」

 笑うハントとは対照的に、エースはやはり笑わずに呟く。

「お前の首に用はないんだがな」

 火拳という火を冠する二つ名をもつ男とは思えないほどにクールな表情をもつエースと、まるで火のように激しく笑うハント。ちぐはぐな二人が今ぶつかった。
 まず動き出したのはハント。エースの懐にもぐろうと駆けはじめる。それに合わせて、エースは両手の人差し指と中指を突きつけた。

「?」

 なんの行為かわからずに首をかしげたハントだったが、次の瞬間慌ててその身を翻した。

「火銃!」

 言葉とともに手から信じられない弾数の火の弾丸がこれまた信じられない速度で飛び出した。指ごと炎と化して攻撃に転ずるその能力に、ハントが驚きの声をあげる。

「自然系か!」
「今、俺の攻撃の前に避けなかったか?」

 だが驚いたのはハントだけではなかったようで、エースもハントの動きに驚きを隠せずにいた。

「お前、名前は?」
「お? ……俺に興味もった?」
「……もういい」
「冷たいな、火なのに!」
「火拳!」

 くだらない洒落は嫌いらしい。
 ハントの言葉に反応したのかは定かではないが、少なくとも先ほどの火銃よりは明らかに規模が大きい。

「っ!?」

 視界一杯を染める大質量の炎の拳に、遠距離攻撃の術をもたないハントでは対処のしようがない。ハントはただただ身を硬くしてそれを迎え撃つ。いや、もちろんただそれを待つだけではない。覇気で身を固め、そのまま特攻。
 炎を突っ切りエースの眼前へ。

「魚人空手『四千枚瓦正拳』!」
「なっ!?」

 エースの技、火拳は生半可な技ではない。普通まともに食らえば吹き飛ぶし、弱い人間ならそのまま消し炭になってもおかしくはない威力を秘めている。
 だから、それを避ける人間に会ったことはあっても真正面から突破してきた人間がいるとは思ってもみなかった。

「ぐっ」

 しかも、今までに味わったことのないほどの衝撃がエースの体に走った。
 自然系の体になってからはなかった、殴られるという感覚、しかも体内に爆弾が走ったかのような衝撃だ。
 数歩後
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