暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
Dear days
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アスナは頷いた。
60層配置のダンジョンを、マージンを十分取って攻略するのに必要なレベルは70だが、現在アスナはレベル87に到達し、キリトに至っては90を超えている。レンのは………想像するのも恐ろしい。
これならユイやマイを守りながらでも十分にダンジョンを突破できるだろうと思って、ほっと肩の力を抜く。
だがユリエールは気がかりそうな表情のまま、言葉を続けた。
「……それと、もう一つだけ気がかりなことがあるんです。先遣隊に参加していたプレイヤーから聞き出したんですが、ダンジョンの奥で……巨大なモンスター、ボス級の奴を見たと……」
「……………………」
アスナは、キリトと顔を見合わせる。
「ボスも60層くらいの奴なのかしら……。60層ボスってどんなのだったっけ?」
「えーと、確か……四本腕の、でっかい鎧武者みたいな奴だろう」
「あー、アレかぁ。……あんまり苦労はしなかったよね……」
ユリエールに向かって、もう一度頷きかける。
「まあ、それも、なんとかなるでしょう」
「そうですか、よかった!」
ようやく口許をゆるめたユリエールは、何かまぶしい物でも見るように目を細めながら、言葉を続けた。
「そうかぁ……。お二人は、ずっとボス戦を経験してらしてるんですね……。すみません、貴重な時間を割いていただいて……」
「いえ、今は休暇中ですから」
アスナはあわてて手を振る。
「暇を持て余してたとこだったしね」
お前が言うな、と全員がレンに心の中でつっこみを入れる。
そんな話をしているうち、前方の街並みの向こうに巨大な白亜の建築物が姿を現しはじめた。四つの尖塔が、次層の底に接するほどの勢いでそびえ立っている。
始まりの街最大の施設、通称『王宮』だ。ゲームが通常どおり運営されれば、何らかのイベントなりクエストなりが行われる場所だったのだろうが、開始直後からほぼ無人であり現在では軍が本拠地として占拠している。
ゲート広場を挟んで向かい側にある漆黒の宮殿『黒鉄宮』にはプレイヤーの名簿である『生命の碑』があるためアスナも数回訪れたことがあるが、王宮にはいまだかつて一度も足を踏み入れたことはない。
ユリエールはまっずぐ王宮の正門には向かわず、広場をぐるりと迂回して城の裏手に回った。
巨大な城壁と、それを取り巻く深い堀が、侵入者を拒むべくどこまでも続いている。人通りはまったく無い。
数分歩き続けたあと、ユリエールが立ち止まったのは、道から堀の水面近くまで階段が降りている場所だった。
覗き込むと、階段の先端右側の石壁に暗い通路がぽっかりと口を開けている。
「ここから城の下水道に入り、ダンジョンの入り口を目指します。ちょっと暗くて狭いんですが
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