二十二話〜一人と一つの海中探索〜
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うだな」
そして、両足が人魚のおびれへと変化したものを大きく動かして、一気に海底へ潜る。
出来るだけ人間に近い姿でかなりの速度で泳げる姿が何かを考えた所、本来は候補として半魚人と人魚があがっていたのだが半魚人は俺の体にエラと手足に水かきがついただけという姿で、魔力消費は少ないがどう想像してもいまいち潜水に向いているとは思えない。
対する人魚は体の構造こそ大きく変わってしまうがそれに見合う程のスピードを得ることが出来る。半魚人よりも魚に近いことがそれに起因しているのだろう。
現に既に五秒で水深およそ百メートルに到達している。
そして、潜ると広範囲に少量の魔力を音波のように流し、魔力反応が返って来るのを期待しながら動く。
俺は一度だけだが、視力を完璧に失ったことがあり、その時には都合よく心眼という心の目で世界を見るような、明らかに人間を止めるための登竜門みたいな技を会得していなかったため、宿から一歩も外に出られなくなる事態に陥ったことがある。
そこで思いついたのが蝙蝠だ。
詳しくは覚えていないが蝙蝠は視力が悪い代わりに確か超音波を出すことで周りの状況や、獲物のありかを感知することが出来るそうだ。
だから俺もそれを真似し、魔力を薄く、断続的に発することで動けるか試してみた。
結果だけを言えば歩くことは出来たが、まともに走ることも、戦闘に参加することも出来なかったため、親友に視力を治す方法を探してもらい、治してもらった。
その時の経験で俺は魔力を持つ物体に魔力波を当てると魔力を持っていないものとは変わった感じに返って来るのが分かったのだ。
つまりそれを利用して魔力の塊とも言えるジュエルシードを探し当てるということをしようとしている。
……まあ、魔王を倒した後、あの荒れていた時期になんとなく心眼を会得出来るか試してみた所……大体十八年目か? そのくらいで会得出来たのだが、そのことは今どうでもいいだろう。
そんなことより、今回は運が良いのか新たに判明したことがある。
「まさか……音と同じように魔力波も水中の方が伝達速度が速いとはねえ。……大体四倍ちょいはあるんじゃないのか?」
ジュエルシードを探索しながらつぶやく。
俺を食べようとしているのか、ホオジロザメが近づいて来たため、軽く電撃を当てることで威嚇しておく。
すると、俺と自身にプロテクションを掛け続けることで、水圧から身を守っていたルナが呆れたように点滅する。
『普通……あんな六メートル程もあるホオジロザメには、物怖じするもんなんですけどね。一体マスターの胆力はどれ程なんですか?』
「まあ……全長三キロメートルの西洋竜みたいな形の竜にも足が竦まない程度には」
まあ、さすがに逃げ腰にはなったけどな。
そう、ぼんやりと考え
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