第二幕その七
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デライーデは夫に援軍を頼んだ。
「あなたからも仰って下さい」
「何をだ?」
マンドリーカを見ながら妻に応えた。
「娘を守って下さい、お願いですから」
「アラベラをか」
「はい」
彼女はそれに頷いた。
「一体何のことかよくわからないが」
彼はいぶかしながらマンドリーカを見ている。
「例え誰であれ娘を侮辱するのなら許さないぞ」
「そうですか」
マンドリーカはそう言われても頑なであった。
「では貴方は娘さんが私を騙しておられてもそう仰るのですね」
「騙すだと!?」
彼はそれを聞いて血相を変えた。
「取り消したまえ、娘は決してそんなことはしない」
「それはどうでしょうか」
だが彼も引き下がらなかった。
「現に娘さんはここにはおられないのですよ」
「それは本当か!?」
彼は妻にそれを尋ねた。
「私も探しているのですが」
アデライーデも弱っていた。
「ほら、御覧なさい」
マンドリーカはそれを見て言った。本来ならここで皮肉っぽく言うのであろうが彼の気質と今の感情がそれを許しはしなかった。
「おそらく御自身の部屋ではないでしょうか」
ここで彼は言った。
「何があったのかはわかりませんが」
「それは本当か!?」
ヴェルトナーは彼、そして妻に問うた。
「ここにいないとなると」
彼女は弱い声でそれに答えた。
「あの娘、気紛れだから」
「よし」
彼はそれを聞いて頷いた。
「ではすぐに向かおう、いいな」
「はい」
「喜んで」
アデライーデとマンドリーカは彼の言葉に頷いた。
「ではこれで決まりだ」
ヴェルトナーはそう言うとマンドリーカに顔を向けた。
「一緒に来たまえ、いいね」
「はい」
彼もそれを了承した。そして三人はその場を後にした。その後ろでは華やかな宴がまだ続いていた。
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