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くらいくらい電子の森に・・・
第十三章 (2)
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柚木からのおかしな返信に首を傾げつつ、電子ロックを解除する。
「必ず戻る…って」
「柚木ちゃん、まじ方向音痴だからな…」
最後の『開発分室』の電子ロックを解除する。紺野さんの話では『八幡はちょろい』ということだけど、こういう状況で誰にも油断なんて出来ない。しばらく壁際に潜んで、反応がまるでないことを確認すると、思い切って踏み込んだ。
「八幡ァ!!………?」
紺野さんが、怒鳴り込みの勢いのまま、ふにゃふにゃと語尾を濁してしまった。…結論から言おうと思う。

――八幡は、僕の想像以上にちょろいひとだった。

「…はぐ、……ふぐ」
何か言ってるけど、よく聞き取れない。…さるぐつわをはめられているからだ。…そして、彼女は動けない。…ベッドの支柱に、荒縄で何かのプレイっぽく縛りつけられているから。そのベッドの上で、ルービックキューブを高速で回転させながら、流迦ちゃんがくすくす笑っている。

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「なんだ、あの縄…どこをどう通ってるのか…」
「………八幡ぁ!!」
紺野さんが叫んで、僕の携帯を奪った。
「なっ」
「…実にいい縛りだ!!」
叫びながらものすごい勢いで写メを連写し始めた。…うわあぁ!僕の画像フォルダに荒縄でいやらしい感じに縛られた女性の画像がみっちりと!!
「ちょ…ちょっとやめてよ!こんなの見つかったら怒られるよ!」
「あン?誰にだ」
「や!その…親とか…ほら…」
「そんなことより、解いてあげたら?」
流迦ちゃんの声に、はっと我に返る。八幡と呼ばれた荒縄の女性は、しくしく泣きながらいやらしい縛られ方のまま支柱にもたれていた。
「あ…すみません、ちょっと待って」
とりあえず、さるぐつわを先に外す。…間近で見ると、眼鏡の奥でうるむ切れ長の目と、リップが乱れた口元が色っぽくて、綺麗な人だ。さるぐつわを外されて、ふっと浅く息をついた唇の形は、柚木の次くらいに僕好みだった。…夜道で会ったときから、ちょっと綺麗な人だなと思っていた。明るいところで見ると、柚木とはまた違う華奢な美貌で、こう…思わず見惚れてしまった。
「姶良!その女に気を許すな!…そいつは敵だ、もう少し放置しておけ!!」
「ちょろいって言ってたくせに…解くよ、じっとしてて」
「ちっ、つまらん…送信っと」

―――送信?

「そ、送信ってあんたまさか…」
「あ、大丈夫大丈夫…俺のケータイにだから」
「…紺野さんの…って、柚木に持たせたやつじゃないかぁ!!」
携帯を奪い返して送信中止を死ぬほど連打したが、時既に遅し。2、3秒ののち、液晶に『送信完了』と表示された。
「…………あぁはあぁぁ」
情けなく空気が吹き出すような声がまろび出た。交際45分にして、早くも破局の足音が。
「あ、悪い悪い。すっかり忘れてた。これじ
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