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くらいくらい電子の森に・・・
第十三章 (2)
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ゃんが答えた。
「それを知ってどうするの…?ただ単に『そういうこと』よ」
『八幡はどうした!?裏切ったのか!!』
なんで今、八幡を気にするんだ。知ったところで状況が変わるわけじゃないのに。そう考えると可笑しくなって、ますます笑いが止まらない。
「だから、そういうことなんだよ。僕の後ろで、ぐるぐる巻きになって気絶してる」
『てめぇ…昨日のガキか!!』
「あはは…その節はどうも」
『…誰なんだてめぇは!!』
「んー?…狭霧、郁夫ってことにしといてよ!」
あははぁはは、狭霧郁夫!自分で言ってて可笑しくなって、げらげら笑った。
『…あれはてめぇか!よくも騙しやがったな!!』
「昨日はよくも、柚木を泣かせてくれたな」
僕は声を低く落として、囁くように言った。
「…15ヶ所?…切り刻んだんだ、そんなに。…ねぇ、どうだった?血の匂いとか、肉の裂ける感じとか、内臓が腹からぶよんってまろび出てくる感じとか。中々、切れない筋があったり、骨がなかなか外れなかったり。…骨は何で切ったの。鉈?鋸?」
『や…やめろ…』
「切っても、切っても終わらない。切り終わっても、ずっと終わらない。耳から、骨を切った時の音が離れない!あんたの頭の中は、今でも自分が引きちぎった肉と臓物でいっぱいだ!!あはははははは!!」
『ぐっ…うぶっ…!!』
画面の向こうから、何かが破壊される音と、誰かが呻きながらえづく音が聞こえてきた。…脆いな、こいつら。そう分かると、自分でも不思議なくらい嗜虐的な感情がわきあがってきた。

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「姶良ばっかりずるい。…ねぇ、ちょっと試してみたい音源があるの」
「へぇ?どんな?」
「カールマイヤーって、知ってる?」
「なに、それ」
「ナチスの人体実験で使われた、精神崩壊を目的に作られた音楽。毎日何時間も繰り返し聞かせることで効力を発揮するものだけど、私の作った音源は、そんなまどろっこしいことはしない。10分あれば、充分」
「へぇ、それはいい。…看護士が巡回に来る頃には、永久に口封じが出来てるんだね」
「そうよ、永久に…ふふふ」
顔を吐しゃ物まみれにして恐怖で顔をこわばらせる二人。必死で液晶の電源を落とそうとするザマが滑稽だ。そんなのは無駄なのに。液晶が壊れれば、部屋のスピーカーから流す。僕らが顔を見交わしてにっこり微笑みあった瞬間、激痛とともに目の前に火花が飛び散り、ノートパソコンが『ぱたり』と閉じられた。

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