第十三章 (1)
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さまは、死んだのに。
私とご主人さまに、まだ、続きがあるの……?
でも、もうおしまい。これが終わったら、全部おしまい。
紅い扉に、そっと手をかけた。
……これ、なに……?
このひとたちは、なんでわたしのごしゅじんさまを
のこぎりで、ごりごり、わけるの?
いたいよ、いたいよ、だめ、そんなことしちゃ……
なんで、いたいよって、いわないの?なんで……
だいすきな、ごしゅじんさまが、のこぎりにごりごり、かじられる。
あかいにくが、ぴりぴりぴりって、やぶけるおと。
てが、あしが、ぼとんぼとんおちる。…わたしと、おんなじに。
ぎぃ、ぎぃ、ぎぃ…ぐちゅ。
ぎぃ、ぎぃ、ぎぃ…ぐちゃ、どさ。
めりめりめりめりめり…ぎぃ、ぎぃ、ぎぃ…ぐちゃり。
いやな、おと。ごしゅじんさまのこえが、ききたいよ…。
ねぇ、のこぎりにいっぱいついてる、あかくて、つやつやしたの、なに?
ごしゅじんさまのおなかから、いっぱい、いっぱいぼろぼろでてきてる
くろい、あかい、あれはなに?へびみたい。
みたことない、ごしゅじんさまの、なかみ。
ねぇ、これはなに?
すごくわるいゆめ?
ごしゅじんさまのあごが、がくがくがくがくがくがく、のこぎりがゆれるのにあわせてがくがくがくがく…がくがく…あ、とまった。
ごろん…
めが…ごしゅじんさまのめが…ない…!
だいすきだった、めが……ないよ……!!
『……置け』
ことり…わたしのまえに、ふたつのとうめいな、つつがおかれた。なんかういてる。ぷかぷか、ぷかぷか。ぷか……
めが…。くろくて、ふかくて、だいすきだった……
ごしゅじんさまの、めが……
つつのなかから、わたしを、みて…る……
……いゃあぁあぁぁぁあああああああぁぁぁああぁぁ!!!!
なんで、なんで眠らせてくれないの!!!
ご主人さまをばらばらに、のこぎりで…ばら…ばらに……しておいて……
優しい声も、髪も、あの笑顔もぜんぶぜんぶぜんぶ奪って
まだ私だけ動かすの!?逆らえないの!?
どうして、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてぇえぇぇえええぇぇぇ!!!!
―――網膜認証、開始―――
……たすけて……だれか……たすけて……たす…け………
人気のない病棟の廊下に、2人の男が息を潜めていた。リネン室の様子を、しきりに伺っている。
「…くっそ、あの女まだいるのか!」
「えぇ…整理かなんか始めたみたいですね」
大柄なほうの男が、いらいらと壁を蹴った。
烏崎たちがリネン室に近づいてくる気配を感じたとき、柚木は向かいの通路からリネン室に飛び込んだ。…それから30分になる。
当初の予定では、烏崎たちが近寄ってきた瞬間を見計らってリネン室の前を警戒する
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