第二章 A's編
第五十一話 『交渉』
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姉様」
「………」
グレアム提督は無言。
まだ隠し球を持っているなら、最終的にはこの部屋を爆破してもいいという心持ちで構えた。
しばらくして、
「まいったよ、シホ君。降参だ。だから二人を開放してくれ」
「もう手は出しませんか…?」
「約束する」
「わかりました。リーゼさん達もいいですか?」
「父様がそう言うんだからあたし達はもう手を出さないよ」
「うん。だから…」
「そうですか。…投影、解除」
そして二人の拘束を解除する。
まだ警戒はしているようだけどもう手は出してこないようだ。
「さて…ではようやく話ができますね」
「済まないね。手荒いことをしてしまって…」
「別に…。予想はしていましたから。それでは話をしましょうか。仮面の男を操っていた黒幕さん」
「なんの事だね…?」
「ここまでしておいてシラを切るとはさすがですね。でももう言い逃れはできないと思ってくださいね?
…あぁ。ところでロッテさん。肩の調子はどうですか?」
「何の事かな…?」
「血が垂れていますよ…?」
「えっ!?」
「ロッテ!」
それで慌てたリーゼロッテさんは左手を見る。
アリアさんが叫ぶがもう遅い。
ロッテさんは血は垂れていなかった事に気づくと「しまった!」という表情になった。
「ありがとうございます。わざわざ反応してくれて。それと別に私はただ肩の調子を聞いただけで傷があるとは一言も言っていませんよ?
それに私が傷を負わせたのは仮面の男なんだからロッテさんが反応するのは少し違うと思うんですよ」
「うぅ…」
「ま、これで状況証拠は揃ったわけですが、再度聞きます。まだなにか言いたいことはありますか?」
しばらく部屋は無言の空気に包まれたがグレアム提督が重たい、それはとても重たい息をつくと、
「…そうだ。私が裏から色々と手を出していた犯人だ」
「父様! それは違う!」
「そうです。お父様は何も悪くない。仮面の男として演じていたのは私とロッテの独断です!」
リーゼ姉妹がグレアム提督を庇う行為をする。
でもグレアム提督は「いいんだ」と言って泣き出しそうな二人の頭を撫でた。
それでリーゼ姉妹は意気消沈してしまった。
「それで、シホ君はこの事をリンディ達に伝えるのかな?」
「いえ? まだ伝えるつもりはありませんよ。それだと闇の書が完成しませんから」
『なっ!?』
それで三人は驚きの声を上げる。
「ど、どういう事だ? 君は闇の書の完成を望んでいるというのか?」
「そうですね。まぁちょっと事情がありまして…。
それと話す前になんで闇の書の完成を手伝っているのか事情を説明してくれませんか?
でないと私も協力関係として信用できませんから」
「…わかった」
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