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ヨツンヘイム
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は撫でる。

「ううん、ユイちゃんのせいじゃないよ。あの時はあたしが、周辺プレイヤーの索敵警戒を厳重に、なんてお願いしちゃったから。そんな気にしないで」

「そうそう。そんなに気にしなくていいぞ」

「……ありがとうございます、お兄ちゃん、リーファさん」

 ユイに微笑む。リーファも同じ行動をしてゲツガとキリトを見る。

「ま、こうなったらやるだけやってみるしかないよね」

「やるって……何を?」

「もしかして、行くのか?」

 リーファは不敵な笑みを浮かべる。

「そう。あたしたちだけで地上の階段に到達できるか、試してみるのよ。このままここで座ってても、時間が過ぎていくだけだもん」

「で、でも、さっき絶対無理って……」

「おいおい、キリト。やる前から諦めてどうすんだよ。大体、リーファは九分九厘って言っただろ?残り一パーセントの可能性がある。な、リーファ」

「うん、残り一パーセント賭けてみよ。はぐれ邪神の視界と移動パターンを見極めて、慎重に行動すれば可能性あるわ」

「リーファさん、かっこいいです」

 ユイは小さな手で拍手を送る。リーファは立ち上がろうとするが、ゲツガはコートを握ってそれを止めた。

「な、なに?」

 よろけながらリーファは座る。ゲツガはリーファの目を見て言う。

「ここまででいい、リーファはログアウトしてくれ。アバターが消えるまで俺らが守るから」

「え、な、何でよ?」

「リーファってリアルじゃ学生なんだろ?もう二時半も回ってるし、徹夜したら学校もあるだろうし、これ以上は付き合って貰うわけにもいかないだろ」

「……」

 そう言うとキリトも言った。

「そのほうがいいよ。直線的に歩いてったてどれだけかかるか判らない。それにあんな馬鹿でかいモンスターの索敵範囲を避け続けたら、移動距離は倍になるかもしれない。階段に辿り着いたとしても朝方になってると思うし。俺らは何が何でもアルンに行かなきゃいけない理由があるけど、今日は平日なんだし、君は落ちたほうがいい」

「べ……別にあたしは平気だよ、一晩くらい徹夜したって……」

 ゲツガはリーファの腕から手を離して頭を下げる。キリトも同様に頭を下げた。

「リーファ今までありがとう。リーファがいなきゃ、この世界の情報収集だってままならなかったし、たった半日でここまで来れたのはリーファのおかげだ。どれだけお礼を言ったて足りないくらいだ」

「俺も同じく」

 ゲツガが言った後、キリトも言った。すると少し拗ね気味な様子で言った。

「……別に、君たちのためだけじゃないもん」

「え……」

 ゲツガはキリトと顔をあげて顔を見合わせる。リーファを見ると目を逸らして硬い声で言う。
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