ヨツンヘイム
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持たなかったらしいとか」
「そりゃまた……」
「なんとチートな……」
「今じゃあ、ここで狩りをするには、重装備の壁役プレイヤー、高殲滅力の火力プレイヤー、それに支援・回復役のプレイヤーがそれぞれ最低八人必要ってのが通説ね。二人の軽装剣士と軽装の弓兵じゃ何もできずにプチンっと踏まれるのがオチだわ」
「そいつは勘弁」
「ああ、もう一度スイルベーンからやり直しはしたくないしな」
そしてリーファが付け加えるように言う。
「ま、それ以前に、九分九厘階段まで辿り着けないけどね。この距離を歩いたら確実にはぐれ邪神を引っ掛けて、タゲを取られる間もなく即死だわ」
「そうか……空でも飛べたらいいんだけどな……」
「それができたら苦労しないだろ」
「そ。月の光がなくちゃ翅の飛行力も回復させることもできないし、ましてやここは洞窟。インプ以外の種族は空を五秒も飛ぶことは不可能」
「そうだよなー。となると、最後の望みは邪神狩りの大規模パーティーと合流させてもらって一緒に地上に行くぐらいだな」
「そうなんだよねー……」
みんなはほこらの出入り口に眼を向ける。どこまでも続く雪原。その奥にはたくさんの山みたいに動く邪神たち。その影の中にプレイヤーのものは当然ながら見当たらない。
「……このヨツンヘイムは、地上の上級ダンジョンに代わる最難易度マップとして最近実装されたばっかりだから降りてきてるパーティーなんて片手で数えられる数かいないかのどっちか。偶然このほこらの近くに来る可能性なんて、あたしたちだけで邪神に勝つ可能性よりも少ないかも……」
「リアルラック値が試されるなあ」
「それなら、キリト。お前、結構高いんじゃね?前にレアアイテムゲットしてたじゃねえか」
「そんときはそんとき。今は関係ない」
そう言って身体を一度伸ばす。そして膝の上で眠るユイの頭をつついて起こそうとする。
「おーいユイ、起きてくれー」
ユイは二、三度瞬きをしてから、身体をむくりと起こして、大きく身体を伸ばした。
「ふわー……。おはようございます、パパ、お兄ちゃん、リーファさん」
「はよーっす、ユイ」
「おはよう、ユイ。残念ながらまだ夜で、まだ地底だけどな。悪いけど、近くに他のプレイヤーがいないか、検索してくれないか?」
「はい、了解です。ちょっと待ってくださいね」
そう言って目を閉じる。すぐに目を開けたが申し訳なさそうに長い耳を垂れさせながら首を横に振った。
「すみません、わたしがデータを参照できる範囲内に他のプレイヤーの反応はありません。いえ、それ以前に、あの村がマップに登録されていないことにわたしが気付いていれば……」
しょんぼりするユイをリーファ
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