暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第百十六話 三杯の茶その五
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「それがし達そこまで目立ちませぬか」
「今はな」
「それは何よりですが」
「普段あれだけ派手だしのう」
 術だけでなく身なりもそうであるのが飛騨者達だ。
「それが今は目立たぬから余計にじゃ」
「そう思えますか」
「その通りじゃ。何も怪しいところはない」
「というか普段のあたし達t怪しいんだね」
 風は信長の今の言葉からこう考えた。
「そうなんだね」
「そうは言っておらん」
 信長もそれは否定する。
「派手だとは言ったがのう」
「けれど今確かに怪しいtって言いましたよ」
「僕も聞きましたよ」
 獣も風に続いて言う。
「それは確かに」
「普段怪しいということではない」
 信長は己のその言葉を勘繰っている感じの彼等に述べた、それは少し違うというのである、そのうえで説明したのだ。
「今の御主達に怪しいところがないのじゃ」
「そういうことなんですね」
「つまりは」
「そうじゃ。勘違いしてもらっては困る」 
 こう言うのである。
「御主達は派手だが怪しくはない」
「だといいんですけれどね」
「怪しくないのなら」
「傾いた忍術じゃな」
 それが飛騨者達の忍術だというのだ。
「それじゃな」
「傾いた忍術とは」
 拳はその言葉の意味を考えた。
「つまり慶次殿、いや織田家の様な」
「織田家は傾いている者が多いからな」
 可児も傾いているからこそ言えた。
「そうなるやもな」
「我等の忍術も傾いている」
「普通の忍術とは違ってな」
「そうした忍術もあるのか」
「忍術については詳しくはないがのう」
 可児は忍術については知らぬ、実はそれは慶次が得意にしているものの一つでもあったりする。彼はそちらも身に着けているのだ。
「そこは慶次とは違う」
「あ奴は確かに忍術も見事じゃがな」
 このことも信長もその目で見て知っている、やはり彼はその目で見てそのうえで見極める男なのである。
「目立つからのう」
「だからこの度はですね」
「あ奴の忍術の中に隠れるというものはない」 
 忍ぶ術であるが忍ぶことはしない、それが慶次の忍術だ。驚異的な体術と手裏剣を身に着けているのである。
 信長は命にこう言うのである。
「そうだからこの度は連れて来なかった」
「お忍びでなくなるが故」
「あれには陰がない。陰がない」
 慶次はそうだというのだ。
「晴れじゃ、それが過ぎる」
「そうですね。ですが」
「ですが。何じゃ」
「それは殿もです」 
 命は自分の右隣で馬に乗っている信長に答えた。
「それは」
「わしもか」
「はい、殿はこの世の闇を照らす日輪です」
「それだというのか」
「私はそう見ます」
「そうか。わしはか」
「慶次殿には影がないのは確かです。ですが」
 それは信長もだというの
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ