第二十一話 ランナーその五
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「もうこの正門を潜ればね」
「グラウンドよね」
「さて、どうした人かしらね」
「一体どういう事情で幽霊になったか」
「それを見極めてね」
「それに」
さらにだった、聖花はこのことについても言及した。
「泉だけれど」
「それもあるわよね」
「今度の泉の候補地は何処かしらね」
「これまで妖怪さんとか幽霊さんが出たら絶対にその候補地も傍にあったから今回もよね」
「ええ、セットになってあるわね」
二人はこう予想していた。
「問題はそれが何処でどういったもので」
「今回は泉かどうかよね」
「色々とあるけれど」
「実際どうなのかしら」
二人であれこれ考えながら正門を潜った、門は既に口裂け女と花子さんが鍵を普通に開けていた、このことは何の問題もなかった。
花子さんはその開けてから四人で潜った門を見つつ愛実と聖花に言った。
「閉めることも出来るからね」
「凄く普通になのね」
「そう、鍵の開閉は得意なのよ」
「そうした技術何処で手に入れたの?」
「何処って。トイレでよ」
そこでだというのだ。
「トイレには鍵があるのが普通でしょ」
「ああ、そういうことね」
「それでなのね」
「そうよ、だからこうした場所の鍵も開けられるのよ」
トイレにいると扉をロックする、そのロックを自由に出来るというのだ。
それでその門は何なく通過された、そしてだった。
四人は門から入ってすぐあるグラウンドを見た、するとそこには。
赤い半ズボンに白い上着の二十代の女がいた。女はそのグラウンドを必死に何周も走っていた、トラックをそうしていた。
髪は黒のショートで走りやすい様になっている、女のそのはっきりとした目に小さめの口とやや前に出た鼻を見て聖花が愛実に言った。
「あの人多分ね」
「多分って?」
「元マラソンのオリンピック選手の前村優子さんよ」
「あれっ、前村さんって確か」
愛実もその名前を聞いて知っていた、その選手はというと。
「今八条大学のコーチよね」
「そう、陸上部のね」
「あれよね。体育学部の助教授でもあって」
「そう、スポーツ研究家でもあるわ」
「生きてるわよ」
愛実はこのことを言った。
「凄く元気よね」
「まだ四十歳でね」
「四十って。あの走ってる人」
愛実はランナーの幽霊の顔を見た、その顔はどう見ても二十代、二十一位だ。どう見ても四十歳の顔ではなかった。
「違う年齢だけれど」
「ということは」
「生霊?噂の」
「それみたいね」
愛実はこう思った。
「前から出てるみたいだし」
「そうね。若い姿で走ってるってことは」
「まだ走りたいのかしら」
「現役でね」
その立場でまだ走りたいことに二人は気付いた。
「そういうことなのね」
「みたいね」
二
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