第三十九話 君子の絆その一
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久遠の神話
第三十九話 君子の絆
黄金を寄付することにした上城と樹里はその足で大石のところに戻った。教会に入るとだ。
すぐに礼拝堂にその大石が出て来てだ。二人にこう言ってきたのだった。
「おや、今度は何の御用でしょうか」
「はい、実はさっき怪物と戦いまして」
「勝ったのですね」
「それで黄金を手に入れました」
このことをだ。上城は大石に話したのだ。
「ただ。黄金を手に入れても」
「その使い道がですか」
「どうして使うのかといいましても」
「使い道がわからないですか」
「お金って必要なだけあればいいですから」
上城らしい言葉だった。彼は基本的に無欲なのだ。
それは樹里も同じでだ。彼女もこう言ったのである。
「黄金は一本だけ。上城君が貰って」
「後はですね」
「はい、普段は一緒にいたほかの剣士の人にあげるんですけれど」
「今回は他の剣士の人がいなかったのですね」
「そうなんです。その時は寄付をしてましたけれど」
だがだ。ふと気付いたというのだ。樹里がだ。
「私が。寄付する団体を選んだ方がいいと言いまして」
「そうですね。確かに中にはです」
「やっぱり。寄付を自分の懐の中に入れる人達もいますよね」
「残念ですが世の中にはそうした人もいます」
大石は少し無念そうな顔になり樹里の言葉に答えた。
「私もそうした人を多く見てきました」
「そうなんですか」
「カルト教団や悪事を何とも思っていない人がするのです」
大石は樹里だけでなく上城にも話す。
「そうした人が実際にいるので」
「寄付をするにも相手を考えないといけないのですね」
「はい、よく考えて下さい」
大石は穏やかだが確かな声で二人に告げた。
「何でしたら寄付をしてはいけない組織や団体のこともお話しますが」
「わかりました。それじゃあ教えて下さい」
「どういった組織や団体が駄目ですか」
「まずは」
大石はそうした悪質な組織、団体のことを実際に名前を出して上城と樹里に話した。二人は彼の話を聞いてそれぞれ唇を噛み締めて言った。
「酷い人達もいますね」60
「そんな人達がいるのですか」
「残念なことに」
またこう言う大石だった。
「こうした組織のことは覚えておいて下さい」
「わかりました」
樹里はメモを取りながら答えた。そうした組織や団体の名前をだ。
「以後そうした組織や団体には近寄りません」
「そうされるといいです」
「幸いどの組織や団体にも寄付はしていないです」
これまで手に入れた黄金はだ。何処にもだというのだ。
「神父さんが教えてくれた中には」
「なかったですか。それは何よりです」
「よかったです。けれど」
「本
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