第二十話 蚊帳その六
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「蛇ならすぐに見付かるけれどな」
「蜘蛛はそうはいかない」
「だからなのね」
「ああ、蠍もそうだけれどさ」
またこの生き物の話が出る。尚蠍にしても蜘蛛にしても昆虫にはならずまた別の種類に分類される生物である。
「ああいう小さい方が怖いんだよ」
「気付かないうちに傍にいるからよね」
「それでよね」
「そうだよ。いや、本当に日本にいなくてよかったよ」
美優は腕を組んでしみじみとした口調で述べた。
「蚊も鬱陶しいけれどさ」
「日本脳炎あるけれどね」
「それでも」
周りも美優の言葉に頷く、そんな話をしていた。
美優はそのことを四人にも話した、話すのは景子の家である神社だ。
そこにいてそのうえで蠍や蜘蛛の話を聞くと共にいる景子は真剣な顔になってそのうえで美優に対してこう言った。
「クロゴケグモね、私も聞いたことあるけれど」
「怖いよな」
「ええ、かなりね」
こう言うのだった。今は五人で車座になりお茶やお菓子を食べながら話をしている。
景子はその中で切られた羊羹を一切れ爪楊枝で刺しながら美優に言った。
「それこそ蚊帳でもね」
「防ぎにくいよな」
「蚊って飛んでくるじゃない」
「そうした蜘蛛って下から来るよな」
「下の隙間からね」
蚊でも入られない様なそこでもだというのだ。
「だから余計にね」
「怖いよな」
「ええ、怖いわ」
実際にそうだというのだ。
「そんなのが実際にいたらね」
「日本にいたらな」
「蠍もね」
それもだった。
「あれも日本にいたら」
「死ぬ人多いだろうな」
「実際にいる国で刺されて死ぬ人多いわよね」
「多いみたいだな」
「やっぱりそうなのね」
「沖縄じゃ確かにハブとかいるけれどさ」
それにヒャンやハイである。
「蠍に蜘蛛はいないからな」
「日本本土にもカバキコマチグモがいるけれど」
里香がここでこの蜘蛛の名前を出してきた。
「そんなに強くない毒だから」
「ああ、日本にも毒蜘蛛いたんだな」
「いることはいるけれど」
だがそれでもだというのだ。
「そんなに強い毒じゃないのよ」
「死なないんだな」
「かまれたところが痛いだけよ」
ほんのそれだけだというのだ。
「それもスズメバチみたいのじゃないから」
「じゃあ本当に大したことないんだな」
「スズメバチオも危ないけれどね」
俗に世界で最も危険な蜂と言われている、そしてこれはあながち外れではないことが恐ろしいことである。
「あの蜘蛛は大丈夫よ」
「そうなんだな」
「そう、日本には元々そうした強い毒のある生き物は少ないから」
「蝮位だよな」
「蝮の他にはヤマカガシもよ」
この蛇にも毒があるというのだ。
「大人しいけれど下手したら蝮より怖いから気をつけてね」
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