第二幕その一
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「では後はあの娘次第ですね」
「そうですね。果たして私を受け入れてくれるかどうか」
彼は俯いて言った。その顔に不安がよぎっていた。
「大丈夫ですよ」
そんな彼にアデライーデが励ましの言葉を贈った。
「貴方なら。ほら、気をしっかりと持たれて」
「は、はい」
そう言われてマンドリーカは少し戸惑った。だがすぐにその気になった。
「ではそこでお待ちになっていて下さい。私が娘を呼んで参りますから」
「わかりました」
アデライーデはアラベラの方へ歩いて行った。そして娘と何やら話をした。やがて彼女がこちらにやって来た。
「娘のアラベラです。そしてこちらは息子のズデンコ」
アデライーデはアラベラと彼女をエスコートしていたズデンカを紹介した。
「はじめまして」
アラベラは頭を下げる。マンドリーカもそれに対して返礼する。
「アラベラと申します」
「マンドリーカと申します」
二人はそれぞれ名乗った。それを見たヴェルトナーとアデライーデはズデンカを連れてそっとその場を離れた。そして二人だけとなった。
「あの」
先に口を開いたのはアラベラであった。
「どちらから参られたのでしょうか」
「はい」
マンドリーカはそれに対して答えた。
「深い森の中からです」
「森の中から」
「ええ。そこからこのウィーンに出て来ました」
「何故でしょうか」
「それは」
彼は顔を少し赤くさせた。迷った。だが思い切って言うことにした。
「実は・・・・・・」
だがここで思わぬ邪魔が入った。
「フロイライン」
黒い髪に豊かな頬髯をたくわえた男がやって来た。そしてアラベラに声をかけてきた。
「ドミニク伯爵」
アラベラは彼を見てその名を呼んだ。
「一緒に踊りませんか、このワルツを」
聴けば音楽の前奏がはじまっていた。会場にいる者はそれぞれパートナーを選んで踊ろうとしていた。
「申し訳ないですが」
アラベラは微笑んで彼に対して言った。
「今この方とお話しておりますので」
「左様ですか」
ドミニクはそれを受けて退いた。そしてまた二人に戻った。
「お話の続きを」
「はい」
マンドリーカは彼女の許しを得て再び口を開いた。
「御父上から聞いてはいないでしょうか」
「残念ながら彼女は首を横に振った」
「そうですか。それなら」
彼はそれを受けてまた口を開いた。
「では詳しくお話させて頂きます」
「はい」
アラベラは耳を澄ませた。そしてマンドリーカに顔を正対させた。
彼はその顔に心を奪われずにはいられなかった。だが気を取り直し言葉を発した。
「私には美しい妻がおりました。まるで天使の様な妻でした。ですが」
彼はここで悲しげな顔になった。
「彼女は私の側には二年しか留まってくれません
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