25話「エルフ」
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ないような怪我を知っているのか、気になった。
「よく分かったな、こんな怪我ともいえないような怪我」
「そこから魔力が零れでてるのが、見えますから」
「……それはまた」
どんな視力の眼だ? 言葉を飲み込んで、声を小さくしていった。数メートルも離れていないところで、未だユーゼリアに詰め寄っている男共が騒いでいるから、声はほぼかき消される。ガーク達冒険者は町長の元へと連絡に行って、この場にはいない。
「エルフは、耳だけでなくそんなに目も良かったか?」
「ッ!?」
ザッとクオリが距離をおく。全身でアシュレイを警戒していた。
「なぜ、わかったのです?」
「素直だな。しらばっくれればいいものを」
「……」
「まあ、俺の場合しらばっくられても意味がないが。…魔力の質が違う。並の人間よりももっと透き通っていて、濃い。にしても、珍しいものだな。滅多に故郷の森を出ないのではないのか? まあ、色々事情はあるのだろうが。聞かないから、安心しろ。ついでに誰かに言うつもりもない」
「……」
まだ警戒したようにアシュレイを見ていたが、ふっと息を着くと、スタスタとよってきた。
「貴方は、警戒しても意味がないようです。わたしの敵う相手ではありませんね」
「本当に、随分と良い眼をお持ちのようで。怪我については大丈夫だ。放っておけば勝手に治る。ありがとう」
「いえ。あの、一応紹介されてましたけど、B-ランク魔道士のクオリ・メルポメネ・テルプシコラです」
「F-ランク剣士のアシュレイ=ナヴュラだ。またどこかで会ったらよろしく」
「は、い。あの……エルフに興味はないんですか?」
僅かな逡巡の後、思い切ったようにクオリが問うた。
今はどうだかしらないが、昔――1000年前は、エルフはその美しい容姿から、奴隷商人の格好の的だった。大枚を叩いてでもエルフを欲しいという金持ちがいくらでもいたのだ。エルフは1人1人の魔法の才が高いが、それでも、1対多数で攻められれば手も足も出ない。その為エルフたちは仲間と共に森の奥地に強力な結界を張って集団で暮らすことにより、その身を守っていた。希少性がより一層高くなり、奴隷商の買取価格がより一層高くなったエルフが、一攫千金を狙う一般人に狙われることも、少なくない。
「いや。…まあ、美しいものを見たいという気が無いわけではないが、どうしてもというほどではない。金に困っている訳でもないから、お前を狙う理由もないわけだ」
アシュレイの腕があれば、目の前のクオリなど苦もなく捕らえられるのにも関わらず、その問いを一瞬でスッキリバッサリと切り捨てた。
素でそう言っているのが分かり
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