SAO編
episode5 手に入れたモノと二人の一歩目2
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」
差し出したアイテムは、《ブラッド・ティア》。
その形状は、…指輪。
目を丸くするソラが何かを言う前に、俺は続けて一息に言葉を紡ぐ。
「いつも、感謝してた。あの二十七層で、言ってたよな? 楽しくする、って。言ってくれたように、俺は一緒にいられて、すごく楽しかった。ホントに、今までないくらい楽しい日々だったよ。だから。だから、さ」
大切な人に、大切な言葉を。
「もし、よかったら」
俺の、偽らざる思いを。
「俺と、結婚しよう」
ソラの表情が、コマ送りのように変化していった。言われたことが理解できなかったのか、ポカンとした表情。そして、理解が追いついて、恥じらいに真っ赤になった表情。
そして最後に、心の底からの、笑顔。
「…はい」
その声と同時に、彼女からのメッセージが届く。
結婚の申し込みを告げる、システムメッセージ。
俺は、その声と笑顔を、思い出す事は無い。なぜなら、一瞬たりとも忘れたことが無かったから。脳や神経細胞などというレベルで無く、魂に刻みついたものとして、俺はこの日を記憶している。
一生忘れない。
いや、死んだって忘れない。
たとえなにがどうなろうと、俺は彼女のことを忘れない。
俺はこの日、この時、この瞬間を、確かに己の魂に刻みつけていた。
◆
後日談。
こうして結婚した俺達だったが、別に生活に何か変化はなかった。まあ要するにソラが突っ走り、俺が振り回される日々には全く変わりがなかったということだ。
その一例をあげておこう。
俺が手渡した結婚指輪は、かなりのレアドロップ品だった。にもかかわらずソラのバカが「指輪もおそろがいー!」とか言い出したおかげで、俺達は再び『炎霊獣の魔洞窟』に丸二日もこもることになったのだった。
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