SAO編
episode5 手に入れたモノと二人の一歩目
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
十人以上の大人数でのボス戦だったが、その戦闘はなかなかにいい連携を見せた戦いとなった。ボスの攻撃パターンはそれほど多くなく、火炎ブレスを筆頭に、強靭な顎での噛みつき、長い首を生かした薙ぎ払い、そして新しいパターンである頭上の雷雲からの雨でマグマを固め、それを尾で弾き飛ばす岩石攻撃の四つだ。
だが、俺達はそのそれぞれを得意分野の面々が絶妙のコンビネーションで捌く。
「シドっ、そっちの首ブレスくるよっ!」
「あー分かったよちくしょー! そっち、牙!」
「りょーかいっ、まかせてっ!」
火炎のブレスは、専用ともいえる防具、《プロミネンス・マント》で俺が敵の口元を掠めて飛ぶよう跳躍にして遮る。噛みつきは、襲いかかる直前その足場に飛び込むソラが、その手にした《ソードブレイカー》で牙を的確に砕いて使用不能にしていく。全く、とんでもない反射神経と戦闘センスだ。そして薙ぎ払い、岩石攻撃は重装備の壁戦士達がその重厚な鎧で受け止める。
他の面々も負けてはいない。
ファーは武器をストレージに仕舞って、代わりにその手に長いロープを持っている。足場を踏み外したメンバーにすぐにロープを投げて引っ張り上げてやっている。元は壁戦士だけあって、流石の筋力値だ。レミのブーメランは、言わずもがな。先ほどまでの巨大なブーメランこそ使っていないが、鋭い刃の飛び道具が大きく弧を描いて乱戦地帯を飛び交う。俺やソラが追いつけない攻撃を放とうとする首を、鋭く薙いで怯ませる。
そして。
「喰らえやオラぁ!!!」
最前線で剣をふるうクライン達数人の攻撃特化型(ダメージディーラ―)達が、凄まじい勢いでそのHPを削り取っていく。その身のこなし、スキルのブーストの仕方、スイッチのタイミング。以前よりも更に洗練されたその連携で、巨大な竜を攻め立てる。
(以前より、腕を上げたな……)
『風林火山』の面々の、この足場の悪い環境での素晴らしい攻撃の応酬。動きも以前に見たときよりも格段に鋭く、敵の攻撃を予想する『先読み』も、死角の敵の動きを耳で聞き分ける『聴音』も、その精度が比べ物にならないほど研ぎ澄まされている。
マントで火炎を遮りながら、ちらりと見やる。
奴らも、思う所があるのだろう。『攻略組』は、(ソラのような特殊な例を除いて)随分と閉鎖的なものだ。それぞれが隠し、騙している部分が、少なからず存在する。そうでなければ、攻略組足りえないからだ。
手の内全てを見せてしまえば、いつ寝首をかかれるか分からない。
言い方は悪いが、そういう雰囲気があるのは確かなのだ。
(それを、なんとかしたいんだろうな……)
なんだかんだと言って、クライン初め『風林火山』の面々はいい奴らだ。なんとかそういった雰囲気を打
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ