第十九話
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休んでくださいよ」
暗くなってからの俺たちは星明かりを頼りに出来るだけの距離を稼いだ。
慣れない山道と傷と疲労。
そして父を亡くしたということが堪えてか、彼女は酷く辛そうだった。
「レイミアさん、休めとまでは申しません、包帯を替えましょう。傷が化膿して歩けなくなるほうが危険だ」
俺はなるべく手早くレイミアの傷を調べ、持ちだせた薬草を傷に当てその上から新しい包帯を巻いた。
乾燥させた薬草を細かくしてから彼女に水と共に服用してもらう。
「アタシは嘘つきさ、王子のこと子供扱いしてないよってさっき言ったけど、全然そうじゃ無い。頭撫でたり、布団に潜り込んだり、抱きついたり。それなのに王子はそれに何にも言わないでアタシの言った厳しいこと、ちゃんと果たしてくれた。あたしはずるくてあたしのほうが子供だね」
「急にどうされたのです? そりゃ、力の加減で苦しいことも多かったですけれど、あなたにいろいろしてもらえたのは嬉しかったり……気持ちよかったりするんですよ」
「ありがとね……」
俺は何も言わずにレイミアの隣に腰かけて身を寄せ、肩を抱いた。
すこしだけ眠ってから再び俺たちは出発した。
運のいいことに特に障害になるようなトラブルは無かったが、三日もすると食糧不足によってふらふらになってしまった。
水だけはなんとか確保出来たので空腹を水で満たし、ターラを目指した。
いっそ山賊にでも出くわし、その食糧を奪えればなどとレイミアと話ながらも、それすら叶わず俺たちはターラの街に辿りついた。
とにかく、まずは腹ごしらえをしたかった。
財布との相談ではあったが量を求めて、俺もレイミアも頼んだ料理が届く度にむさぼり食った。
やがて人心地がつき……
「ここには北トラキア連合の出先機関があると思うので、明日にでも当たってみようと思います」
「……そうさね。それがいいと思うよ。なぁ、おなかもふくれたし宿でも取ろうか。風呂付きのところがいいけれどどうだい?」
風呂付の宿屋は値段の桁が一つ違った。
しょうがないので部屋でお湯を使わせてくれる宿を見つけ出し、そこに泊ることにした。
レイミアの脱ぎっぷりが良すぎて、俺は前を隠すとかが許されない空気にされてしまった。
意を決して脱いでみたところ……からかったりはされなくて、その……いろいろとやさしくされました……
翌朝俺たちが宿屋を出て最初に向かった先は、レイミアが寄りたいということで代書屋に付き合わされた。
レイミアは領主レイニーとして、俺がトラバントに害されそうになった為にやむなく出国したのであって、人質の役割を投げ出したわけではないという文書を書いてくれた。
そこを離れてしばらく大通りを進むさなか、封蝋したあとのそれ
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