SAO編
episode5 八つ頭の竜の討伐
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戦闘は、格段に楽になった。
『風林火山』の面々は流石の実力で敵をなぎ倒していく。しかも、レベル的に劣るレミとファーを気遣ってくれているようで、ダメージを庇いながら積極的に二人にダメージを与えさせて獲得経験値を増やしている。それもこれも。
「やっぱりこうかあああっ!!?」
俺の犠牲有っての話だが。俺の役目は、四人でいた時と全く変わらずにマントでブレスを惹き付け、逃げ惑うことのままだった。ちっとも楽ではない。前言撤回だ、戦闘自体は楽になったかもしれんが、俺はちっとも楽じゃねえ!
「まあまあ慌てんなって!」
ブレス攻撃と同じような範囲攻撃を放つ、浮遊する石の連結体のようなモンスター、「フレアエレメント」にクラインが斬りかかりながら言う。怯んだ隙にレミの投げた刃が突き刺さり、削りきれなかった分を後詰めの『風林火山』メンバーが吹き飛ばす。
同時に出現した他のモンスターも、次々にハイペースで狩られていく。あっという間に敵は減っていき、戦闘が終わったソラが嬉しげにストレージを見ている。また俺仲間はずれ。まあ、もういいや。
「なんか寂しげだな、シド」
「……うるせ。ほっとけ」
「まあいいや。ほら、次のスポットだ。気合い入れてかかるぞお前ェら!」
一旦ニヤニヤ笑った後、クラインがリーダーらしくメンバーに気合いを入れ、面々も「オー!」と威勢よく応える。ソラ達もノリノリで拳を振り上げている。やれやれ。俺も力無く拳を持ち上げる。アインクラッドでも有数の力を持つと自負している拳も、どうやらここでは何の役にもたたないらしかった。
◆
この『炎霊獣の魔洞窟』は、数多くのダンジョンを見てきた俺から見ても珍しい構造をしていた。ある深さまで入っていくと、そこからまるで飛び石のように開けた空間が続くのだ。まるでドーナツのように真ん中がマグマに満たされた空間が、八つ。
「なるほど、広間毎に順に首が増えていくわけだ」
「おもしれェだろ? ま、戦ってみると笑ってばかりはいられねェけどな」
その変わった空間は、ボス戦用のものなのだ。『八つ頭の竜の討伐』クエストを受理したプレイヤーが入った場合に、その中央の溶岩地帯から蛇竜が首を出すのだ。最初の空間には一つ。それを倒して奥に進み、次の空間では二つの首を出して。そうやって最後の空間でとうとう全身を現してプレイヤーと決戦となる。
「そりゃまた、長丁場なクエだな」
「おお。だからここでお前ェに会えて結構マジで助かったぜ。もしかしたらポーション類ガチで足りなくなるかもだったんだ。入りなおせばまた最初からだからな」
「次で、七つ目、か」
「うーん、すごいねっ、燃えるシチュエーションだねっ!」
「うおっ!?」
突然後ろから
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