SAO編
episode5 火焔の魔窟のカタナ使い2
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分かってやってるのかレミの力の抜けた掛け声に、こちらもどっと疲れの増えた掛け声を返す。それで満足したらしくレミはまたトコトコと談笑の輪へと帰っていく。何故か拍手喝采をもって迎えられた彼女は、無表情にVサインをして座る。まったく、なんなんだ。
「…お前ェも、大変だな、なんか」
「…おお、まあな」
残ったクラインが、しみじみとつぶやく。
「んじゃあ、大変ついでに買い取りもお願いすっか。これ、いくらだ?」
「ん? なんだこれ? 指輪、か。よっと」
そう言ってクラインがストレージから取り出したのは、一つの指輪。金色に輝くリングに、紅く輝く美しくカットされた紅玉が嵌っている。『鑑定』でクリックしてみると、《ブラッド・ティア》のアイテム名、そして製作者の銘はなし、ドロップアイテムか。効果は、
「筋力補正が五、武器攻撃スキルの取得経験値補正有り、か。全武器に働くのはおいしいな。結構な値で買い取ってもらえるんじゃねえか?」
「いや、お前ェに買い取ってもらうんだよ」
「ん? いいのか?」
クラインの一言に、俺が確認する。直に言いこそしないが、俺は『ダンジョン行商人』だ。本来は出来ないダンジョンで売り買いが出来る代わりに、値段は大分客に厳しく設定してある(命がかかってたらみんな金は払ってくれるものだ)。それを、クラインも知らないわけではないはずだが。
「いいんだよ。前祝いだ。使ってもいいし、やってもいい」
「なら買い取るが…。俺は使えねえぞ、武器は持ってないし」
「ハッ。使えるぜ、お前ェが、な。ま、せいぜい有効に使ってくれや、若人よ」
「?」
そう言ってにやりとオヤジらしく笑うクライン。まったく、なんなんだ。こいつもなんか事情を知ってやがるのか。なんか俺だけえらくアウェーだな。
この短時間に何回「なんなんだ」といったか分からん。
そんなことを考えながら、これももう何回目か分からないため息をついた。
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