イゼルローン哨戒任務
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帝国でも問題になっているが、ひとまずの解決策として一個艦隊の編成を同盟より多い15000隻にする事で応対しているらしい。
「まぁ、敵の駆逐艦三隻までならなんとかなるでしょう。
最初から噂の高速戦艦と当たったらなんて考えたくないですから」
航海長であるアルテナ中尉の言葉はある意味当然の事だった。
単艦偵察任務の場合、先行して駆逐艦に搭載している偵察衛星や数機搭載している単座戦闘艇スパルタニアンを出しているからだ。
万一、敵がいる場合はそれが先に破壊される。
そして、それが破壊されるという事は、逃げる時間が与えられている訳で、侵攻軍である帝国軍よりも同盟軍はこの付近の航路データを握っていたのだった。
それを覆しかねない脅威としてみなされていたのが、最近帝国艦隊に配備されつつある新鋭戦艦である高速戦艦と呼ばれる種類である。
コンセプトは簡単で、「最大三割近く広がる兵器の性能差を大型化によって克服しよう」というもので、コスト度外視で作られたこの艦艇は高火力・重装甲・高速と三拍子そろった新鋭艦で、その登場から同盟艦艇に衝撃を与えていたのであった。
万一、こいつと出会ったら逃げられない可能性が高いと司令部情報からも注意がつけられている代物である。
基本的に、駆逐艦というのは艦艇の主力であると同時に、雑用係でもある。
ありとあらゆる場所に投入される消耗品と言ってしまえば身もふたもないが、高速戦艦なんてしろものはこちらの戦艦に相手をしてもらって、こちらは敵の駆逐艦を相手にというのが一番楽ではあるのだ。
もちろん、この駆逐艦とて高速戦艦を撃沈しうる武装は持っているが、それをするには高度な技量と大量の運が必要になってくる訳で。
「まぁ、出会わない事を祈りたいが、対策はある。
戦術コンピューターのマニュアルの中に入れているので、各自目を通して忌憚ない意見を述べてくれ」
ヤンの言葉にそれぞれ手元のコンピューターを操作し、そのペテンとも取れる対処方法に皆呆れ顔を浮かべるばかり。
ヤンとの長い付き合いかつ後輩であるアッテンボロー中尉が皆を代表してその感想を述べる。
「艦長らしいといえば、らしいのですが……いやはや。
戦術長として、何も付け加える事はありません」
「これをやられた方は怒り狂うでしょうなぁ。
こちらも何も言う事はないです」
パトリチェフ大尉も苦笑してヤンの案を了承し、准尉と航海長のアルテナ中尉は唖然としつつも異議を挟むつもりはないらしい。
こうして、最後のミーティングの後、駆逐艦ソヨカセV39は第十偵察隊の一隻としてイゼルローン回廊の偵察に出発し、そこて初戦闘を行う事になる。
ミーティング終了後に、准尉がぽそっと呟いたが、全員部屋から出た後だったのでそれを耳にした
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