SAO編
episode5 振り回されて、走りけり2
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新しく手に入れた、もうひとつの装備の使い心地を試すためだ。トカゲ戦士の前面に走り込んで、敵のソードスキルが放たれる直前の曲刀、その横腹に放った一撃が、モンスターの持つにしては小奇麗だった武器を砕いた。
「うんっ! やっぱこれいいわ!」
そのままバックステップで距離をとった後、満足げに武器を持つ右手を上げる。ナイフを握るその手には、俺には読めない禍々しい呪文のような模様がびっしりと編み込まれた、銀色の布地の不吉な片手用グローブ。名前は、《カタストロフ》。
大破壊、という物騒な意味の名を冠するその手袋は、ソラが何層だったかのフロアボスからのドロップで手に入れたもので、筋力や敏捷、防御値には補正がないものの、「装備した武器に関わらず、武器破壊にボーナスポイントが入る」という凄まじい効果を持っていたのだ。
ああ、そう言えば言っていなかったか。
俺自身は四十七層以来ボス攻略に参加してはいないが、なんの因果かギルドリーダーであるソラは、ちょくちょくとボス攻略に駆りだされるようになっていた。あの時のボス攻略で見せた戦闘センス、そして操る多彩な武器でのバリエーションの多い攻撃手段が、攻略組の目にとまったらしい。なんでもヒースクリフの旦那が珍しく入れ込んで、一時は最強ギルド、『血盟騎士団』への直接の勧誘まであったのだ。
俺としては何が起こるか分からないボス戦にソラを単身行かせるのはいい気分ではないのだが、ソラ自身が「やっぱりゲームの醍醐味はボス攻略だよねっ!」とノリノリなので仕方がない。
閑話休題。
武器が小型であればあるほど効果の上がる《カタストロフ》で武器を破壊してしまえば、剣術しか使えないモンスターは攻撃が出来なくなってしまう。そう、剣術しか使えない、なら。
「シドっ、あとよろしくっ!」
「ばかやろおおおっ!!!」
剣が使えなくなって、再びブレス攻撃を放つトカゲ戦士。当然、これを受けるのは俺の役だ。
俺は再び、ソラの盾となるべく火炎の中への突進を余儀なくされる。レミのブーメランが敵を仕留めるまでの数秒間、再び俺は大いに不快な神経刺激を味わい続けることになった。
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