SAO編
episode4 RUN!RUN!RUN!3
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突進のスピードはなかなかのもので、このまま逃げ切るのはちょっと難しいだろう。
そしてなにより。
「おいっ、シド!」
「ちっ、分かった!」
このままいけば、恐らく主街区で俺達を待っているであろう、観客たちを巻き込む可能性がある。さすがに低レベルの面々は『圏外』に出ていることはないとは思うが、なにせあのお祭り騒ぎだ。気が緩んでいる可能性も、否定できない。
そして、正直時間に関してはかなり余裕がある。俺とキリトのスピードは現在の最前線でもトップクラスにあるだろうし、その全力疾走でここまで来たのだ。あのイノシシを叩き潰すくらいの余裕は、十分にある。何より、戦闘は副業である俺とは違って、戦闘に関してもエキスパートであるキリトがいる。
「一気に片づけるぞ!」
「おおよ! 大技でいくぜ!」
キリトと瞬時に目配せし、足元から派手な土煙を巻き上げての急制動。直後に反転してイノシシに正対して構えを取る。俺の四、五倍はあろうという巨体は結構な迫力だが、その体にはソラが放ったのだろう投げ槍が数本刺さって貫通継続ダメージを与え続けており、そのHPは七割ほど。
「いくぞっ!」
キリトが凄まじい速さで背中の片手用ロングソードを抜き放ち、目一杯に引き絞る。突進を迎撃するための、突進系のソードスキルの構え。その剣が激しいエフェクトフラッシュを帯び、ジェット機めいた轟音が鼓膜を震わせる。
『片手剣』カテゴリ重攻撃ソードスキル、《ヴォーパルストライク》。
その必殺の一撃。
「それには及ばない。任せたまえ、キリト君、シド君」
が、放たれる直前に、後ろから唐突に涼やかな声が聞こえた。
虚を突かれたキリトがぎりぎりで技を止めた瞬間、俺とキリト二人の間を、真っ赤な影が横切る。影はそのまま、眼前で猛るイノシシを左手に構えた盾で真正面から迎撃する。
無茶だ。
突進系のソードスキルならまだしも(それもキリト並みの筋力と武器があってこそだが)、ただの盾一つで体重差のある相手の突進を受け止めるなんて。下がれ、と叫ぼうとしたが一瞬間に合わず、凄まじい轟音とともに二つの影が激突し、
「なっ!」
「おおっ!」
イノシシが、まるで破壊不能オブジェクトにでも衝突したように大きくつんのめった。対する赤い影は、全く押される様子なくがっしりとその突進を真正面から受け止めて、そのままの体勢で振り返った。その男は。
「こういったお祭に、私も是非呼んで欲しいものなのだがね。どうしてかこういったイベントの類は私には連絡が来ないのだよ。私もプレイヤーの一員なのだが」
「ヒースクリフ!」
あろうことか『攻略組』…いや、全プレイヤー中最強の呼び名の高い有名人だった。
俺達の
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