暁 〜小説投稿サイト〜
とりあえず、サレンダーはしません
第一話、そしてさようなら
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「「決闘!!!」」

俺LP4000  試験官LP4000

「申し訳ないが、先行は私から貰う!ドロー!」


俺は手につけた決闘盤を見ながら、何故こうなったのか考えていた。
この決闘盤はオモチャではない。本物である。最初は信じられなかった。

だが……

「わたしはアクアマドールを召喚!守備表示!」

男がそう言って、カードを決闘盤に叩きつけるとモンスターが実体化した。




アクアマドール

ATK1200  DEF2000



「……目の前でやられると、信じざる終えないなぁ……」


「ん?何か言ったか?」


「いえ、何も。」


「なら私はこれでターンエンドだ。」


俺こと、田中栄仁は気付いたら遊戯王の世界に来ていた。
いつかはわからない。本当に当然だった。理由もわからない。

ここに来る前の記憶も曖昧で、記憶喪失と言ってもおかしくない状況だった。


「どうした?君のターンだぞ。」


「…………」

とりあえず、今は何も思い出せない。
今はこの決闘を続けるしかない。その後のことは…あとで考えるしかない。

「…ドロー、スタバイ、メイン。」

ドローしたカードは手札断札だった。
手札を確認して安心した。これは俺のデッキだ。
俺は巷で言う復帰勢という奴だ。デッキも一つしか持ってないし、カードの知識も乏しい。
不安しかないが、とりあえず続けるしかない。

「あいての場にはモンスターが一体だけ……か」

はじめて見るカードだった。
攻撃力と守備力は召喚された時に表示されたが、効果がわからない。
俺と試験官の間には距離があるから、テキストも読むことができない。


「表側守備表示になっているのは、あのモンスターの効果か。」


本来、モンスターを守備で出すときは、裏側でセットしなければならない。
だが例外が存在する。俺が知ってるのは召喚師サモンプリーストだけだが。


「手札断札を発動します。」


考えても仕方がない。俺の手札にモンスターはいない。
何とかして持ってくるしかない。何故かは知らないがLP4000しかないのだから。


「この効果で二枚捨てて、二枚ドローしてください。」


「む?手札事故か?いいだろう。」


何故わかった!?
目の前の男はかなりの実力者らしい。ますます不安になってきた。


「……ん?」


何故か周りからクスクスと笑い声が聞こえた。
決闘盤も何とか使えてるし、カードの効果も間違えてない。
……笑われる理由がわからない。まぁいい、最近の子の笑いのツボがわからん。

俺は二枚の手札断札を墓地に送り、二枚ドローした。



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