プロローグ〜に当たる何か〜
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復されていき、『棺がある』という以外の異変を一切残さなかった。
数分前と同じ空。シャマルの張った結界、依然緊張状態の魔導師二名と騎士二名。そして、
『『『『棺内部から高魔力反応。危険です』』』』
四人のデバイスが一斉に警告を出した。
錆びた金属が擦れるような、しかし重く鈍い重低音を奏でながら、観音開きに棺は開いた。内部から水蒸気らしいスモークが漏れ出し、よくある映画のワンシーンのような光景が眼前に広がる。
コレが映画なら、中から出てくるのは異星人か怪物、もしくは未来からの使者だろう。だが違う。
浮遊魔法で其処から出てきたのは、一人の人間。しかしその姿は異常であり、誰もが目を疑った。
「肉が……爛れているな」
だらりと下げた両の腕、紅く爛れた身体。
皮膚は焼かれたのか腐敗したのか、既に表面は原形を留めておらず、そこにあるはずの眼球は蒸発していて、顔を覆う皮膚は無くなり歯や鼻骨など全て剥き出しの状態。全身の骨格がいやに露骨なそれは、まさしくミイラというべき状態だった。
パニック状態なのか、声も言葉も出ないなのは達。ただただ口を覆うばかりで、動けずにいる。
しかし、長く戦場を渡り歩いてきたシグナムとヴィータはいやに平静で、死人があぁなるということを知っていた。故に、拍子抜けとも取れる自身の内心に嫌気が差すものの、現状を冷静に分析する。
「……なんだよ、ようは死体って事じゃねーのか? どうなんだよ、アイゼン」
『目標から生体反応を検知。間違いなく“生きて”います』
問いかけるは、己が相棒。鉄槌『グラーフ・アイゼン』。
彼は要望に答え、あのミイラの状態を告げた。間違いなく生きていると。そして、
「なら……あれは殺せるって事だな?」
『そうとも言えます。目標がどのような生物であるかまだ不明ですが、生物である異常は確実に死亡すると思われます』
「レヴァンティン、目標の状態は?」
『目標の表面に僅かですが、魔力障壁のようなものが確認できます。魔法形式は不明ですが、目標は間違いなく魔力を有した生命体です』
シグナムの愛剣、炎剣『レヴァンティン』。
彼もまた、あのミイラを生命体と呼称する。そして先ほどの通信や自身のデバイスが告げた、高魔力反応。
二人は視線を合わせ、上空のミイラを見る。お互いの考える事は、いやというほど理解できた。現状、目的のためには手段を選べぬ状況、故に二人は行動した。
殺しはしないが、これほどの魔力を有する生命体ならば一体どれほど収穫が得られるだろう。
二人と二機は、一瞬で目標を定めた。魔力カートリッジをロード、一撃で沈め、一瞬で回収し、一気に撤退する。棺を背後にするソレを左方にヴィータ、右方にシグナムが回りこみ、挟撃する。そんな二人が攻撃の瞬間に聞いた、
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