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か、キリト君?これだけの額があれば一等地にちょっとした城が建つぞ」

 キリトは何の執着もなさそうに首を振る。

「構わない。俺にはもう必要ない」

 そう言うとサクヤとアリシャは顔を見合わせた後、ほぅーっと深い嘆息してからキリトに視線を向ける。

「……これだけあれば、かなり目標金額に近づけると思うヨー」

「大至急装備をそろえて、準備ができ次第連絡させてもらう」

「よろしく頼む」

 サクヤが広げたウィンドウにアリシャが頑張ってキリトからもらった(ユルド)を格納した。

「この金額を抱えてフィールドを歩くのはぞっとしないな……。マンダーの連中の気が変わらないうちに、ケットシー領に引っ込むとしよう」

「そうだネー。領主会談はそこでやろっか」

 領主たちは頷き、部下達に合図を送る。たちまち会談で準備されていたアイテムは片付けられた。

「何から何まで世話になったな。君たちの希望に極力添えるように努力することを約束するよ、キリト君、ゲツガ君、リーファ」

「役に立ててうれしいよ」

「本当にありがとう」

「連絡、待ってるわ」

 ゲツガとキリトとリーファは領主の二人と固い握手を交わす。

「アリガト!また会おうネ!」

 そう言ってゲツガの頬にキスをしようとするがゲツガは人差し指で唇を押して止めた。

「女性が簡単にキスするもんじゃないぞ。領主さん」

「にゃはは!キミは案外固い人だね」

 そう言って翅を広げて空に浮かぶ。そして二人の領主はケットシー領の方に向けて飛んで行った。その姿が消えるまでゲツガ達はその後を見送った。

 途中、風が吹き寒くなったのかリーファが寄り添ってくる。

「……行っちゃったね」

「ああ、終わったな」

「たしかに、色々あったけど何とかな」

 キリト、リーファ、ゲツガは各々思ったことを口にした。

「なんだか……」

 リーファが何か言おうとした時にキリトの胸ポケットからユイが飛び出して言った。

「まったくもう、浮気は駄目って言ったじゃないですか!パパ、お兄ちゃん!」

「わっ」

 リーファは驚き数歩離れた。キリトは焦ったような声を出す。ユイはキリトとゲツガの周りを少し飛んだ後、キリトの肩に座ってかわいらしく頬を膨らませた。

「な、なにをいきなり……」

「そうだぞ、ユイ。何を根拠に言ってんだ?」

「領主にくっつかれていた時、お兄ちゃんはそこまでなかったですが、パパはすごくドキドキしてました!」

「そ、そりゃ男なら仕方がないんだよ!な、ゲツガ!」

「そうだぞ、ユイ。キリトの場合は女性に対しての抵抗がないからそうなるんだ」

 キリトはそれを聞くと、ゲツガに対して文
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