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や、そんな……」

 キリトはそう言って困ったように頭を掻く。その時、リーファが一歩踏みでて言う。

「ねえ、サクヤ、アリシャさん。今度の同盟って、世界樹のためでしょ?」

「ああ、まあ、究極的にはな。二種族共同で世界中に挑み、双方ともにアルフになればそれで良し、片方だけなら次のグランド・クエストを協力してクリアするのが条約の骨子だが」

「その攻略にあたし達も同行させて欲しいの。それも、可能な限り早く」

「俺からも頼む」

 そう言ってゲツガは頭を下げた。

「顔を上げてくれ、ゲツガ君。そんなことをしなくても君には同行して欲しい。キミのような戦力がケットシーにいるならば攻略も楽になるだろうし、それにキリト君も来てくれれば相当な戦力になる」

 ゲツガは頭を上げてからサクヤに礼を言う。

「なに、礼を言われるほどでもないさ。それと、時期的にはまだなんとも言えないが、しかし、なぜ?」

 そう聞かれるとキリトと一度目を合わせる。キリトはこくりと頷いた。どちらか話すかをジェスチャーしてゲツガが話すことに決めた。

「俺、いや俺たちがこの世界に来たのは、あの樹、世界樹の上に行きたいからなんだ。そこにいるかもしれない、ある人たちに会うために……」

「人?妖精王オベイロンのことか?」

「いや、違う。……と思う。リアルで連絡が取れない人がいるんだ……どうしても会わなきゃいけない人がいるんだ」

「へえェ、世界樹の上ってことは運営サイドの人?なんだかミステリアスな話だネ?」

 興味の引かれたアリシャはそう言って目を輝かせる。しかし、すぐに尻尾が力なく伏せて申し訳なさそうに言った。

「でも……攻略メンバー全員の装備を整えるのに、しばらくかかると思うんだヨ……。とても一日二日じゃあ……」

「そうか……そうだよな。とりあえず俺らの目的はあの樹の根元に行くのが目的だから……その後になんとかする」

 キリトが小さく自虐的な笑みを一瞬浮かべるがすぐに何か思い出したように言ってウィンドウを操作し、大き目の袋をオブジェクト化させた。

「これ、資金の足しにしといて」

 そう言って袋をアリシャに渡す。キリトが袋を離した瞬間、ふらつくが両手に持ち替えてなんとかふんばった。その袋の中を覗き込むと、驚きの表情を浮かべる。

「さ……サクヤちゃん、見て!これ!」

「ん?」

 サクヤは首を傾げてアリシャの持つ袋を覗く。リーファも気になったのかその袋を覗いて声を洩らしていた。サクヤも口をあけて凍りついている。

「うぁっ……」

「……十万ユルドミスリル貨が……これ全部……!?これだけの金額を稼ぐのは、ヨツンヘイムで邪神クラスをキャンプ狩りでもしない限り不可能だと思うがな……。いいの
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