目的
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
自己紹介を行った後、リーファが事の成り行きを説明する。サクヤというシルフの領主、アリシャ・ルーというケットシーの領主と幹部達はリーファの話を鎧の音一つ立てずに聞いていたが、説明が終わると同時に揃ってみんな深いため息を吐いた。
「……なるほどな」
両腕を組み、艶麗な眉のアーチを小さくひそめながら、サクヤは頷いた。
「ここ何ヶ月か、シグルドの態度に苛立ちめいているものが潜んでいるのは私も感じていた。だが独裁者と見られるのを恐れ合議制に拘るあまり、彼を要職に置き続けてしまった……」
「サクヤちゃんは人気者だからねー、辛いところだヨねー」
「でも、苛立ちって……何に対して……?」
リーファがそう言うとサクヤは視線を遠い稜線に向けながら言った。
「多分……彼には許せなかったんだろう。勢力的にサラマンダーの後塵に拝しているこの状況が」
「……」
リーファはそのことを黙って聞く。
「シグルドはパワー志向の男だからかな。キャラクターの数値的能力だけでなく、プレイヤーとしての権力を深く求めていた……。ゆえに、サラマンダーがグランドクエストを達成してアルヴヘイムの空を支配し、己はそれを地上から見上げるという未来図は許せなかったんだろう」
「傲慢な奴だな、シグルドってやろうは。少し待てば新たな可能性を見出せることもあっただろうに……」
ゲツガはそう呟くと不思議そうに全員が見てきた。
「君はどうしてそう思うんだ?」
サクヤが聞いてくる。
「何でって、まあ時と場合によるけどな。“賢明にそしてゆっくりと速く走る奴は転ぶ”っていう言葉を知ってるか?速く選択するといけないときもある。そういう感じの意味を持っていると俺は思っている。とまあ、そんな感じで急ぎすぎた判断は時としては駄目な方向に転がる時があるって言いたいんだが、まあそんなことが言いたかっただけ。なんか、変なこといってすまん」
「いや、君の話しは難しいがなんとなくわかる。つまりシグルドの判断は後先を考えずについた結果、駄目になったということだろう?」
「まあ、そういうこと」
そう言うと、サクヤは君は詩人みたいだなと言って微笑む。
「でも……何でシグルドはサラマンダーのスパイなんか……」
「もうすぐ導入されるアップデート五・〇の話を聞いているか?ついに転生システムが実装されるという噂がある」
そうサクヤが言うとリーファは気付いたように声を上げて言った。
「あっ……じゃあ……」
「モーティマーに乗せられたのだろうな。領主の首を差し出せばサラマンダーに転生させてやると。だが、転生には膨大な額の金が必要らしいからな……。冷酷なモーティマーが約束を履行したかどうかは怪しいところだな
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ