第八十三話
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雷の照射が終わるとクレーターの真ん中にその巨体を倒したメルカルトが仰向けで上空を見つめている。
『よもや暴風と嵐の神でもあるわしを雷で打ち滅ぼすとは…』
メルカルトの視線は自身を打ち倒したフェイトの姿を探していた。
フェイトがメルカルトへと向けて放った雷撃。あれは周りの雷を集めて誘導し、敵に落下させる技だ。言うなればメルカルトは自身が発した雷に撃たれた事になる。
だが、蓄え続けられたそれは、いかに神と言えど無事ではすまない威力を秘めていた。
何故なら、あたり一面はクレーターで陥没し、大小のビルは粉々に吹き飛ばされている。その落下の爆音だけで常人ならショック死しそうな程だった。
そんな威力の雷をその身に受けたメルカルトは、その体を構成する物質の全て、また霊核を全て焼かれてしまい、今言葉を発するのも難しい状況なのだが、やはりそこは神の矜持か。
『いいだろう。わしの力をくれてやろう。だが心せよ…再び合い間見えた時はわしが貴様を屠ってやろうぞ』
と、祝福と呪いを吐き出すと、メルカルトの体は光の粒子になりフェイトの体へと吸収されていった。
上空で莫大な量の雷を操る為に全神経を費やしていたフェイトは、実際はこれ以上の戦闘の継続は難しかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
『大丈夫ですか?サー』
「なっ…何とか…」
彼女にしてみても今の攻撃が勝負を決める物だったのだ。
あの攻撃を防がれたならば一気に彼女の勝機は無くなる。なぜならブレイカークラスの魔法すら切裂いた相手なのだから。
だが、フェイトはこの勝負に勝った。
「はぁ…かみ…さまっ…て…こんなに強いんだ…」
以前のまつろわぬフェイトと比べるとメルカルトの強さは比べるまでも無く強大だった。
「どれだけ自分の偶像が弱かったんだろうね…」
と愚痴ってしまうほどに。
メルカルトが完全に消えた事を確認し、フェイトは少し気を緩めるとやっと辺りの状況が目に入る。
「あっ!シリカっ!大丈夫だったかな?」
この爆風だ。近辺に居たのならどうなったか分からない。
「さ、探さないとっ!」
と、少々しまらない最後になったがこうしてフェイトの戦いは終わった。
…
…
…
一方、シリカはと言うと。
メルカルトの一撃で分断されたシリカの前には軍馬に乗った甲冑の騎士が現れ、その槍の穂先をに向けられていた。
「では、存分に死合おうではないか」
騎士らしく勝負は面と向かい、宣言の合図で持って始めようとシリカの準備を待っていたランスロット。
しかし、シリカは正面突破での戦いは最初から考慮していない。
そもそも彼女の能力が初見殺しの上にアオ達をしても破る事が難しい能力
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