第八十三話
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ビルの屋上で信じられないと言う感じの表情で放心している金髪の少女が呟いた。
この騒動の仕掛け人、グィネヴィアである。
「これだけの戦力を投入して相手にはかすり傷ほどのダメージしか無いというの…?」
封時結界に取り込まれ、魔女の目による遠視が外れた後、数分経って表れたのはカンピオーネの3人のみ。
その場に居合わせたメルカルト、ペルセウスを合わせて3柱ものまつろわぬ神が居たというのに相手の被害の軽度に恐れおののいている。
「いえ…これは何かの間違い…」
そう思って何度も確認し、その度に絶望する。
確認すればまつろわぬアーサー、そしてサルバトーレ卿も敗退しているようだった。
自軍の駒は全て倒され、相手の被害は殆ど無く、目的の物の入手もまま成らない。
そして何より、今まで自分を支えてきてくれたランスロットが打ち倒された事実が一番に堪えた。
「あ…ああっ…」
最強の鋼の英雄の配下にして、グィネヴィアが知っている限り現状では最強だと思っていたランスロットが討たれたのだ。
もはやこの日本で事を構えるようとしてもおそらく目的は叶わない。それが確認できた事がさらにグィネヴィアの絶望を高める。
「ああああああああっ!?」
ここで身を引いて事の推移を見守る等と言う事が出来るほど、妄執とも言える最強の鋼の英雄の復活のみを願っていたグィネヴィアの精神は成熟していなかった。
そして、現実のあらゆる物から目をそむけ、精神が崩壊する。
絶望に染まり、その呪力が暴走した事でグィネヴィアのその祖たる神性を取り戻していった。
ボコリとその体が歪み、膨張する。
その膨張が終わるとそこには白き竜が現れた。
グィネヴィアがその不死性を捨てて竜蛇の姿へと変じたのだ。
通常、竜蛇の姿になってもその思考は通常の物である。しかし、今のグィネヴィアの瞳には理性の色は窺えなかった。
「GURAAAAAAAAAA!」
大爆音で鳴くと、グィネヴィアは飛翔し、そして所構わず建物をなぎ倒し始める。
それはまるで駄々をこねる子供のようであった。
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