第十九話 ビーチその十七
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れ使ってね」
その中で寝ているというのだ。
「そうしてるの」
「ううん、何か蚊帳って」
「一回見てみる?」
「うん、お願い出来る?」
お互い安楽椅子に寝そべったまま話をしていく。
「それならね」
「いいわよ。そろそろ出そうって思ってたし」
景子は琴乃二顔を向けてにこりとして言う。
「それじゃあね」
「また景子ちゃんの神社に行って」
「それでね」
「うん、見せてね」
「蚊帳も珍しいものになったわよね」
景子の口調がしみじみとしたものになった。
「もう殆どないっていうか」
「和風のお部屋じゃないと似合わないしね、蚊帳って」
「それに吊るさないといけないし」
この手間もあった。
「面倒なこともあるわね、確かに」
「そうなのね」
「それでも独特の風情があってしかも蚊は避けられて」
そしてだった。
「中で扇風機も使えていいのよ」
「そんなにいいのね」
「そうなの。凄くいいから」
そうした話をして今度は景子の家に行くことになった、そうした話をしてプールでも五人の時間を過ごした。
それが終わって家に帰るとだった、母が琴乃にこう言ってきた。
「ああ、朗報よ」
「朗報って?」
「梅雨明けよ」
笑顔での言葉だった。
「よかったわね」
「あっ、梅雨明けなの」
「今年は随分降ったけれどね」
「例年より多かったのよね」
「例年より結構ね」
多かったというのだ、実際。
「けれど今日で終わりよ」
「よかったわ、本当に降る時は凄かったからね」
「そうよね。土砂崩れとか不安になる位に」
「堤防とかもひょっとしてって思う位に」
そこまで激しい雨だった、だがそれもだったのだ。
「それも終わりなのね」
「夏は夏で夕立ちがあるけれどね」
「今年の夏ゲリラ豪雨とか多いかしら」
「みたいよ。けれどね」
「梅雨はもう終わりね」
「だからそれは安心してね」
「よかったわ。後は」
琴乃は母の話を聞きながら笑顔で言う。
「ペープマットとか出して」
「それか蚊取り線香ね」
「どっちがいいかしら」
「ペープマットもいいけれど」
「いつも通り蚊取り線香にするのね」
「あっちの方が好きなのよ、お母さんは」
母は何故蚊取り線香が好きかも話す。
「風情があるじゃない」
「煙が漂って」
「ペープマットの匂いってきつくて人にも悪い影響与えそうだけれど蚊取り線香は違うわよね」
「何かね。そんな感じがするわね」
「だから好きなの。あの煙が夏ってイメージだしね」
煙もそのイメージを形成するものだった。
「いいのよ。じゃあ今年も蚊取り線香にするわね」
「わかったわ、それじゃあね」
「梅雨が明けたらいよいよだから」
夏、それになるというのだ。
「明日買って来るわね」
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