第十九話 ビーチその十五
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「そういうのを食べてね」
「それでなのね」
「そう、二十本ね」
「食べてなのね」
「そうよ、飲んで」
そうしたというのだ。
「楽しくやったのよ」
「里香ちゃんは飲むことにも考えがあるんだな」
「うん、お酒は百薬の長っていうけれど」
美優にこのことを話す。
「この言葉も問題なのよ」
「問題って?」
「何かあったの?」
「そう、この言葉ってあの王莽の言葉だけれど」
中国の新王朝の始祖にして唯一の皇帝だ。歴史においては前漢から皇位を奪った簒奪者と言われ非常に評判が悪い。
「反乱が起こって気が滅入ってお酒ばかり飲む様になってね」
「つまり酒浸りね」
「それになったんだな」
「その時の言葉だから」
それでだというのだ。
「あまりいい言葉じゃないのよ」
「お酒も飲むにあたって色々考えないと」
「危険かあ」
「そうなんだ」
「だから私も飲む時に気をつけてるの」
酒量は多いがそれでもだというのだ。
「お酒ばかりにならない様に、それに飲む時も気分よく健康にって」
「確かに気持ちが塞ぎ込んでる時に飲んでもね」
景子はもう顔が赤くなっている、日焼け止めクリームで武装しているのでそれでないことは一目瞭然である。
「身体に悪いわよね」
「ええ、かえって気持ちが塞ぎ込んで」
そしてだというのだ。
「よくないから」
「そういうことね」
「お酒は毒にもなるから」
俗によく言われている言葉でもある。
「気をつけないとね」
「難しいなあ、その辺り」
「本当にね」
「何ていうかね」
「ちょっと」
こうした話もする五人だった。そのうえでビールも焼きそばも楽しんだ。
それが終わってから次は何をするかというと。
西瓜だった、琴乃は大きなよく冷えた西瓜を出してきてそのうえで四人に言った。
「これね」
「そう、それね」
「焼きそばの次はそれよね」
「酔ってるけれどね」
にこにことして景子と彩夏にも言う。
「夏の砂浜は」
「そうそう、西瓜」
「それも欠かせないのよね」
「西瓜は神様の野菜よ」
こうまで言う琴乃だった。
「夏はこれがないとね」
「だよな。じゃあどうして食べる?」
美優もにこにことして言う。
「ここはさ」
「西瓜割りとかは?」
琴乃はここでこれを話に出した。
「それはどう?」
「西瓜割りなあ」
「夏の砂浜の定番だけれど」
「酔ってもな」
美優はこう返した。
「それでやってもな」
「駄目っていうのね」
「ああ、歩く方角だって滅茶苦茶になるしさ」
酔うと方向感覚もおかしくなる、そういうことだ。
「それにな」
「それになのね」
「ああ、力だってさ」
その加減も問題だった。
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