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万華鏡
第十九話 ビーチその十三
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 火が通ったと見て美優はすぐに言った。
「よし、じゃあ食うか」
「うん、それじゃあね」
「ビールも開けてお皿も出して」
「お箸もね」
 五つの割り箸が一斉に割られた、そして。
 ビールの蓋も開けられた、そのうえで。
 全員で乾杯する、焼きそばとビールが飲まれていく。
 その中でこんなことを言う琴乃だった。
「ううん、やっぱり夏の海のお昼はこれよね」
「あとこれもあるからさ」
 美優も焼きそばとビールを楽しみながらあるものを出してきた、それはソーセージだった。それも焼きそばの中に入れて焼いて言うのだった。
「フランクフルトの方がよかったかな」
「ああ、それね」
「やっぱりこれもいいだろ」
「うん、夏の海だからね」
「フランクフルトかソーセージもな」
 それもだというのだ。
「あるといいだろ」
「ううん、大切なものを忘れてたわ」
「日本の夏の海ってな」
「独特のものがあるわよね」
「独自の世界があるよな」
 美優は青い海と空、そして白い砂浜と雲も見ながら言った。
「本当にな」
「そうなのよね、本当に独特の」
「イギリスだったか?海でフイッシュアンドチップスとかな」
「それはないと思うけれど」
「ああ、ないか」
「というかイギリスだと庭園だから」
 海というイメージはない、それを言うのは景子だった。
「海に囲まれてても」
「泳ぐ場所じゃないか」
「こんな夏の海はあまりないと思うわ」
「そうなんだな」
「それを言うと南フランスじゃないの?」
 そこになるのではというのだ。
「それかイタリアとかね」
「だったらワインか」
「白よね、夏だと」
「日本の夏の海にワインってな」
 どうかと、ビオ優はビールを飲みながら言っていく。
「個人的にはな」
「ビールの方がいいのね」
「やっぱりビールだろ」
 それだというのだ。
「よく冷えて泡立つな」
「そして焼きそばにソーセージ」
「これなのね」
「日本の夏だよ」
 正確に言うとまだ梅雨だが美優は言い切った。
「これこそな」
「じゃあどんどん飲んでなのね」
「それで」
「ああ、今日は楽しくやろうな」
 言いながらそばもすする。
「午後もな」
「午前も楽しんで午後も」
「そういうことね」
「そう、午後もな」
 美優はまた言う。
「明るくやろうな」
「ビールもたっぷりあるしね」 
 里香はもう一本空けていた、そしてだった。
 もう一本の飲みながらまた言うのだった。
「どんどん飲めるわね」
「そうね。けれど里香ちゃんって」
 琴乃がその里香に言う。
「あれよね」
「あれって?」
「お酒強いわよね」
「あっ、多分ね」
 里香もこう琴乃に返す。
「私お酒強い方だから」
「いつも結構飲んでるわよね」
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