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英雄伝説 零の軌跡 壁に挑む者たち
4話
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たこともあり軍ではないという体裁のためか経歴は不問。
しかも大貿易都市であるクロスベルには仕事がいくらでもあるため警備隊はまったく人気がなかったのだ。

この採用募集でさえ緊張状態にせめて人員を揃えたいという司令官の判断で今更素人を入れても足手纏いだろうというのに募集が掛けられたのだ。
だがこんな時期だからこそと思う者は多いようで志願者は多く、士気も高く一個年上のミレイユなどは座学も体力試験もトップ合格して昇進試験も合格して同期の出世頭になっていた。
とはいえ長く続いた緊張状態でもやることはやはり国境監視と有事に備えての訓練のみでランディたちは緊張感溢れる警備を続けていたが、それもリベール王国で締結された不戦条約によって一気に緩和、解消されることとなった。
このため臨時で入った者は希望者以外は予備役扱いでの退役することになったのだが、ランディは残る事を選択した。
クロスベル市とはバスで通えており、休みが必ずもらえ歓楽街は大陸でも屈指の豪華さで、何より規則正しい生活と訓練、たまの演習、あとは検問業務ぐらいで人を殺さずに済むという気楽さが非常に良かった。
緊張状態では大人しくしていた上層部のお偉いさんの無理難題がちょっと嫌になるがそれでも同じ戦場の空気を味わった仲間たちは良い奴らで共に暮らし働き、休みの日には一緒に歓楽街に乗り出して朝まで馬鹿騒ぎして帰る。そんな仲間たちとの日々をランディは実に気に入っていたのだ。
毎日命のやり取りをするために這いずりまわる煉獄と冥府の戦場よりも実に温い日常である。だがそれが心地良かった。

だがそんな生活も1年半が過ぎて完全にクロスベルが平和になると自粛されていた警備隊での演習が行われた。そこでちょっとした事件が起きたことで崩れることになる。
クロスベルはその政治的不安定さから大規模な演習が行えない。そのため小規模な魔獣退治や対テロの名目で軍事演習はしょっちゅう行われていたが、公開演習は珍しかった。
ランディもベルガード門の俊英としてミレイユの班で何度か参加して警備隊全体で評判を集めていたのだが、それが結果的に仇となった。
こういう時しかいない警備隊司令が綱紀を徹底させると言い出して警備隊員必須のライフルとハルバートによる模擬戦闘演習を命令したのだ。
今までライフルは下手だのなんだのと躱してきたが、評判を聞いていた警備隊司令は正式な警備隊員ならやれるはずだ、ハルバートがそれだけ出来るのにライフルが下手なのは不真面目だからだと無理強いしてきたのだ。
ランディにとってライフルは人殺しの道具であり染み付いた殺人術を無意識に出してしまうため、その記憶から遠ざかるためにも手に出来なかった。
そもそも接待やら備品納入の取引で賄賂を溜め込むのに忙しくいつもいない司令に綱紀粛正なんて言われたくはなかった。

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