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最期の祈り(Fate/Zero)
衛宮切嗣
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そして、、苛烈にすればするほど攻撃が雑になり、切嗣を捉える事が困難になっていった。この戦闘、驚嘆すべきはやはり切嗣だろう。彼は熱源察知などの補助機能をフルに使っているが、ラウラの攻撃を避けているのは純粋な彼の力によるものだ。切嗣は、今回『固有時制御』を使っていなければパワードスーツとしてのISの力も使っていない。ただ、相手を挑発し、攻撃の矛先を明確にさせ、避けているだけだ。……別に彼の身体能力が特別優れている訳でも無ければ、ラウラが弱い訳でもない。的が小さすぎるのだ。切嗣のISは、彼の体の要所にのみ装着される。それは、人の三倍はあろうかというISとの戦闘に特化したモノにとっては、酷い状況だ。そもそも、ISで対人用の戦闘訓練を行う馬鹿は居ないだろう。寧ろ、ラウラは良くやっているほうだ。読みやすいとは言え、全ての攻撃が直撃ルートに入っているのだから。
この闘い、幕切れはシュヴァルツェア・レーゲンの稼働エネルギーが尽きた時か、
「はぁ……はぁ……」
衛宮切嗣の体力が尽きた時だ。
肩で息をしながら、荒い呼吸を整えようとする。五分間、実にそれだけの間、彼は二人分の体重を支えながら死の舞を踊ったのだ。それだけの事を行ったのだから、彼の体力は完全にきれていた。
「ふん、貴様も五分逃げ回るのがやっとか」
一方のシュヴァルツェア・レーゲンのエネルギーは、五分前と比べて大して目減りしていなかった。彼女が使ったのはあくまで「ワイヤーブレード」ただ一つ。第3世代機特有の固有武器を使っていないのだ。エネルギーは充分ある。
その事実に満足したのか、ラウラは少し冷静さを取り戻すと、改めて地に方膝をつく切嗣を見据えた。
「消えろ」
そして、一つ酷薄な笑みを浮かべるとワイヤーブレードを彼の背中に叩き落とした。そう、この戦いの結果など最初から解っていた。最強クラスの実力を持つラウラに、ハンデを背負った切嗣が勝てる道理がない。そんな事、この闘いを見ていた者は元より切嗣自身解っていた。
…………しかし、二つの事実を思い出して欲しい。彼の勝利条件はラウラを倒す事ではない。ラウラから「撤退」することだ。もう一つ、彼の体力は使い果たされたが、衛宮切嗣のIS「シルバームーン」のエネルギーは、ほぼ使われていないも同然だという事を……
ラウラの動きが完全に停止し、攻撃すらも台風の目に入った瞬間
「瞬時加速」
一瞬にして、彼の体はアリーナの端に移動していた。
「な!?しまった!」
普段の冷静なラウラなら、エネルギーが未だ残った相手に気を抜くという愚は絶対におこさないだろう。だが、相手が悪かった。敵はあの衛宮切嗣だ。相手が愚を犯さないのなら、そうするよう仕向けるような輩だ。衛宮切嗣がラウラを挑発し、挑発に挑発を重ねたのは攻撃を避ける為でなく、この一回の為だった。
「私は……」

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