衛宮切嗣
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「それにしてもここまで来るのに時間がかかったね」
結局、食堂から直線距離で百メートル程のところにあるアリーナに来るのに三十分かかった。理由は言わずがもがな。
「す、すまん」
何を思ったか、一夏が僕にも頭を下げてきた。
「いや、一夏のせいじゃないから。別に謝らないでいいよ」
色男に罪は無い。優柔不断がに咎があるだけだ。
そ、そうか。と何やら安心したように色男(一夏)が顔を挙げる。
……それにしても人が多いな。間を縫って歩くのがやっとで、正直人を探すなんて出来そうに無い。アリーナにもセシリアと鈴音が居るだけで、肝心の切嗣がいない。
「どうする、一夏?切嗣を探すのは無理そうだけど……」
とりあえず隣の連れに確認をとってみる。仮にここの何処かに切嗣がいたとしても、見付けるのは至難の技だ。しかも、居ない可能性も十分あるのだ。
「う〜む……また夕食の時にでもしようか」
流石にこの人混みにわけいってまで探す気力は無いのか、一夏もあっさり諦めた。1週間後に大会を控えているのだ。余り時間は浪費したく無い。結局僕達は、一夏が人目について騒ぎの巻き添えをくう前に、そそくさとその場を離れる事にした。
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アリーナの観戦フロアの外に出ると、涼しい空気が体を覆った。――いや、中が暑すぎただけだ。余程人が居たのか、外と中の温度差が激しい。下手をしたら風邪を引きかねない。現に一夏が気温の変化に耐えられずくしゃみを繰り返している。
「大丈夫?」
余りに状態が酷いので思わず心配してしまう。
「ああ。とりあえずは……」
「中との温度に落差があったからね。風邪引かないでね」
体を冷やすのは良くない。本当に風邪をひかないか心配だ。
しかし、その心配は杞憂に終わりそうだった。何やら向こうから、土煙をあげながら迫ってきていたからだ。
「あ……。……。ごめん一夏。急用を思い出した」
それだけ言うと、僕は元来た道を全速力で引き返した。ああ。そう言えばパートナーの申し込み、今日の昼までだったな……
後ろの方から「い〜ち〜か〜く〜ん〜」と、統率の無い筈なのに一矢乱れぬ女の子のハーモニーが聞こえた。体を冷やす心配は無いな……校内マラソンをしたら嫌でも汗だくになるだろう。
「うん。アレに巻き込まれたら終りだ」
この学園に来て日が浅い僕でも解る。横で並走している織斑先生も頷き返してくれる。
「全くだ」
「ですよね……って、織斑先生!?何で居るんですか!?」
いつの間にか、僕の右側で織斑先生が並走なさってた。意図せず、足が止まってしまう。
「居ては悪いか?」
「心臓に悪いです!一言声をかけて下さい……」
本当に心臓に悪い。
「いや、すまんな。校則を無視し、廊下を全速力で疾走する生徒
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