暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第51話 油断大敵……分かっていたのに
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こんにちは。ギルバートです。ちょっと洒落にならない状況になっています。いえ、かなり洒落にならない状況になっています。アルビオンで想定外に早く事態が動いたと思ったら、同時にガリアの方でも動きがありました。
シャジャルとティファニアは絶対に助けねばなりませんが、無能王誕生も避けたい事態です。しかし私の体は一つしかないので、両方を一度に対応する事は出来ません。そこで現状を踏まえた上で、私は緊急性が高いアルビオンの方へ向かう事にしました。
しかしガリアの方も放ってはおけません。そこでガリアの方へは、別の人を派遣する事にしました。今はその人を待っている所です。
「待たせたな」
はい。ガリア側を任せるのはビターシャルです。
「申し訳ありません。緊急事態だったので、突然呼び出してしまいました」
「……何があったのだ?」
そんな警戒心バリバリの目で見ないでください。厄介事を押し付けるみたいじゃないですか。……そうだけど。
「急いでいるので単刀直入に言います。ガリアへ潜入して、ジョゼフ王子に接触して下さい」
ビターシャルの目が細くなりました。警戒していますね。
「カトレアの能力については、ビターシャルも気付いていますね?」
私がそう言うと、ビターシャルは頷きました。
「カトレアは公爵家の息女です。他国の王族とも会う機会はありました。その中にはガリアの王子である、ジョゼフ王子やシャルル王子も含まれています。……そう。虚無の担い手であるジョゼフ王子とも会っているのです」
カトレアがジョゼフ王子に会ったと言うのは嘘ですが、これが一番説得力があるでしょう。そして虚無の担い手と言う言葉に、ビターシャルの顔が一気に引き締まりました。
「彼は世間一般では、情が薄く狂人であるとされています。しかし実際には、同じ視点に立てる者に飢えている寂しがり屋なのです。そんな彼が唯一認めているのが、弟のシャルル王子なのです。そんなジョゼフ王子が、弟のシャルル王子を失ったらどうなると思いますか?」
「……」
返ってきた答えは沈黙でした。そりゃ分かりませんよね。
「カトレアが言うには、狂気に取りつかれるそうです。それもただ虚無の力を暴走させるのではなく、冷静に……冷徹に……効率良く、全てを破滅へと導く悪魔になる。……と、カトレアは言っています」
ビターシャルの顔が大きく歪みました。
「もちろん可能性が高いだけで絶対ではありません。ビターシャルにお願いしたいのは、そうならない様にシャルル王子を守ってもらいたいのと、ジョゼフ王子が狂気に取り憑かれた時に被害が少ない方に誘導してほしいのです」
無能王誕生阻止と、それが無理ならタバサだけでも助けたい。と言うのが本音ですね。
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