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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第51話 油断大敵……分かっていたのに
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「それを目深にかぶって、絶対に顔を見せない様にしてください。……急いで」

 男が森の方を気にしている。追手が近い事を悟ったわたし達は、急いでローブをはおり顔を隠した。そうしている間に、男はわたし達のスキルニルを2体重なる様に地面に放り出す。そして懐から取り出した皮袋の中身を、その上に盛大にぶちまけた。……鉄と生臭いにおい。血だ。

 更に男は剣を抜くと、剣先をスキルニルに擦り付け剣にも血を付着させる。

「これで準備完了。っと、それか……」

 男が何か言いかけた所で、追手の傭兵達が森から飛び出して来た。そいつ等は目の前の光景を見て……

「マジかよ。先、越された!!」

「手柄取られちまったよ」

 口々に悔しがる傭兵達。そんなにわたし達を殺したかったのか……。強い殺意が湧いて来たが、ここで見つかる訳には行かないと必死に押し殺す。

(ここにはテファが居る……我慢しろ。ここにはテファが居る……我慢しろ。ここには……)

「そんなに手柄が欲しいか?」

 不意に響いたその言葉に、先程から騒がしかった傭兵達が静かになる。

「手柄はお前達にやっても良い。と言うか、余は手柄等に興味は無い。貴様等にくれてやる。余はこの紛い物の存在が許せなかっただけだからな」

 そう言いながら、男はテファのスキルニルの前に膝く。そして自身の体を傭兵達のブラインドにしながら、髪を切り取り結ぶ振りをし、先程渡したテファの血付きの髪を取り出し傭兵達の方へ投げる。

「この髪を持って行くと良い。血も付いているから、本人の物であると証明できるはずだ」

「ち?」

「マジックアイテムを使えば、血液からいくらでも判別できる。本来なら首を持たせる所だが、余はこの紛い物が一瞬でもこの世に存在する事が許せぬ。これは余の……アルビオン王家最大の恥だ」

 そう言うと男は杖を抜き、スキルニルから離れながら長々とルーンを唱え始める。そして……

「エクスプロージョン《爆発》」

 ドオオォォォォ――――ン!!

 2体のスキルニルは、跡形もなく消し飛んだ。

「な なんだよあれ?」

「聞いた事もない魔法だぞ」

「如何なってんだよ!!」

 傭兵達が騒ぐのも分かる。あんな魔法わたしだって知らない。

「一体あいつは…… ハッ!!」

 すぐ隣にいるテファのフードが大きくめくれ、耳が見えている事に気付き慌てて直す。周りを見ると、幸運にも視線は男に集中していて気付かれなかったようだ。その事に小さくホッと息を吐きだした。そしてフードがめくれていたのは、テファだけでは無かった。男のフードもめくれ、その素顔が露わとなっていたのだ。

 珍しくもない金髪。整ってはいるが、美形と言った感じでは無い。どちらかと
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