暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第51話 油断大敵……分かっていたのに
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! 森から……」
直ぐに引き返そうとするが、森の中からは野太い男の声がいくつも聞こえる。今戻れば捕まるのは確定。周りの風景を確認すると、遠くに別の森が見えるがそこまでとても逃げ切れない。森までの間に樹が数本点在しているが、とても隠れられないだろう。
(ダメ……か)
ほんの一瞬頭をよぎった
弱音
(
ほんね
)
が、わたしに疲労を自覚させ足を地に縫いとめる。
「はぁ はぁ ……ね えさん」
(いや、諦めてなんかやるもんか!!)
思わずテファを抱きしめる。だが、打開策が見つからない。悔しさのあまり視界が滲む。
「もう逃げないのですか?」
「ッ!?」
反射的にテファを抱きかかえ、声がした方から少しでも距離を取ろうとする。しかし、一度噴き出してしまった疲労の所為で体がついて来ず、数歩よろめくにとどまってしまった。横目で確認したが、相手は目深にかぶったフード付きローブで顔は確認できない。……声からしておそらく男で、身長は女のわたしより少し低い位だろう。
問題は、ローブの隙間から見える
剣
(
ロングソード
)
。そして、手に持った……
杖
(
ワンド
)
。
(死んだ)
私はこの時、そう確信していた。しかし待っても、痛みも感じなければ意識も途切れなかった。
「……そろそろ良いですか?」
「あれ?」
「とりあえず、このスキルニルに2人の血を付けてください。使い方は分かりますね?」
「あ ああ」
「それからティファニアの髪を一房切り、まとめてから血を付けてください」
呆気にとられたわたしは、もはや言われるままに動いていた。わたし達が生き残るには、この男に従うしかないと途中で気付いたのもある。いや、正確には気付いたのではなく、縋っていたと言うのが正確だろうね。
《錬金》で作ったナイフで自分の手を切り、スキルニルを作動させる。そして、次は……
「ねえさん」
「ちょっと痛いけど我慢しておくれ」
「う うん」
だけど、髪を切るのと血を取るのは辛いわ。テファも女の子だからね。切った髪や血を取った傷跡をしきりに気にしてる。何か嫌われ役押し付けられたみたいで腹立つね。……半ば現実逃避にそんな事を考えるが、今は冷静にならねばと脱線しかけた思考を元に戻す。
(しかし、このスキルニルは上手くわたし達に化けたけど、動くどころか直立も出来ないし壊れた人形みたいで気味が悪いね。……まるで死体みたいだ)
そんな事を考えていると、男がわたし達に近づきヒーリング《癒し》の魔法を発動する。なかなかの熟練度だね。これなら傷跡も残らないだろう。どうやらこいつは水系統のメイジみたいだね。そう思っていると、男は自分の物と同じフード付きローブを取り出して渡して来る。
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