暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第51話 油断大敵……分かっていたのに
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だ。耳の良いエルフや風メイジ対策なのだろう。奴等はご丁寧に、音をさえぎるマジックアイテムを持っていた。

 足止めしてくれた風メイジが首を飛ばされ……そして、囮となってくれたシャジャル様の胸を剣で刺された。そしてわたしは偵察の為に、護衛の風メイジに《遠見》の魔法をかけてもらっていたので、その効果がまだ残っていた。宙を舞う風メイジの首に、シャジャル様の背中から生える剣。それをモロに見てしまったのだ。

 ……思い出しただけで背筋が寒くなるね。

「お母さん達は大丈夫かな?」

「そうだね。きっと大丈夫だよ」

 ……お願いだからそんな事聞かないでおくれよ!!

 喉元まで出かかった弱音を飲み込む。今はそんな事を言っている時ではない。

「追手達は大分離れたみたいだね。そろそろ移動しよう。テファ。大丈夫かい?」

「うん。頑張る」

「良し。良い子だ」

 逃げ延びる為の最後の希望は、この森の北側にある(きこり)の小屋だ。そこには爺さんが1人住んでいる。この爺さんはモード大公子飼いのメイジで、テファの事を知らされている1人だ。その爺さんに頼んで、馬車で包囲網の外へ連れ出してもらえば、目の前の危機を脱する事が出来る。

「行くよ」

「うん」

 テファを連れて慎重に歩きだす。追手は今わたし達を見失い森全体に広がっている。恐らく一度見つかれば、その追手が集まって来てしまう。もし振り切れたとしても、隠れながらの移動は難しい……いや、不可能だろう。つまり次に見つかったらアウト……か。

 細心の注意を払い、追手達が少しでも近付くと先程と同じ方法で隠れる。そしてディテクトマジック《探知》を密に使い、自分達の位置を見失わない様にする。ラインクラスのわたしでは、精神力が少々キツイが背に腹は代えられない。テファも辛いだろうに良く耐えてくれている。

(……あと少し)

 それが油断につながったのだろう。本来なら一端隠れなきゃならない所を、そのまま進んでしまったのだ。そして……

「いたぞ!! こっちだ!!」

(しまった!!)

「ねえさん」

「テファ!! 走るよ!!」

「う うん」

 テファの手を引き走る。このまま樵小屋に行けば、爺さんも巻き込んで殺される事になってしまう。一端樵小屋から離れて、追手を撒いてからでないと不味い。絶対に諦めない。……そう決心して懸命に足を動かす。テファも必死に着いて来てくれている。藪や茂みを利用して、追手から距離を取る様に走った。

「……しつこいね」

「はぁ はぁ はぁ」

(テファももう限界だって言うのに、このままじゃ……)

 身を隠すタイミングが見つからないまま走っていると、急に目の前が開けてしまった。

「しまった!
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