発端
[8]前話
夜は冷え込む。
握り込んだ銃把の金属はとても冷たくマスクの隙間から漏れる息も白い。
背中を押し付けたコンクリートの壁もひんやりと身体から熱を奪って行く。
こう何時間も寒空の下にいるとさすがに堪えるモノがあった。
だが待つことにじれてその一瞬を逃したら元も子もない。
来た。
降りてきたエレベーターの銀色の扉の開いた隙間からのぞく標的の顔。
斜め後ろに黒スーツにサングラスの強面を従えこれぞスーパーカーと連想させるランボル○ーニのとある車のガルウィングを開く。
標的は助手席に乗った。
黒スーツが運転するようだ。しかし車高が低く乗りにくいあの車に乗る様はなかなかに慣れているようであった。
パワフルなエンジンの大きい音を響かせてカウン○ックは走り出す。
完全に過ぎ去ったことを確認してから無線機を口元に押し当てる。
「こちらB−2。標的はホテルからカウ○タックに乗って走り去った。矢薪方面に向かう模様。オーバー」
若干の雑音。
『こちらHQ。すぐに矢薪方面に人員を充てる。一時撤収せよ。オーバー』
「了解。」
そうして俺は無線機の電源を切り横に止めておいた静音性の高い国産のハイブリッド車に乗りこんだ。
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