第十八話
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にも声をかけてくれて、
「これならあと5年10年かかろう、一度報告に戻られたのち、再びここに戻って指導なされ、あれも補佐につけよう」
なんか…ここでレイニーとずっと暮らせみたいに感じてしまうのだが気のせいだろうか?
そんなこんなでレイニーの村での暮らしが1年も過ぎたころか、俺が無事に生存していることをレンスターに知らせる為に手紙を書くよう言われたので、すぐにしたためた。
内容は検閲されるであろうから当たり障りなく、そしてトラキアの人たちは良くしてくれていると。
俺にも手紙が渡されたけれど墨塗りが多くて参ったね。
レンナートさんにも見せてあげたが、なんにしても大事に取っておこう。
さらに半年余りが流れた、兄上はとっくの昔に国に戻っているだろうなぁ。
俺は背が伸び、レンスターから持ち込んだ衣類などは丈がずいぶん短くなった。
後になって振りかえると、こういう日は朝から胸騒ぎがした、とか、嫌な予感がした、なんて物語ではよくあるけれど俺にとってはいつも通りに始まった代わり映えの無い一日だった。
森のほうの薬草畑の様子を見に行き、その帰りになんの気なしに上空を見ると領主館のほうへ飛竜の編隊が向かっているのが目に入った。
定期的に連絡の竜騎士の往来はあっても、それは常に1人であり、いままでに3度ほどあった国王のお忍びでもせいぜい3機?編成だっただけに俺はようやく異変を察した。
出かけるときに、イノシシでも出たら危ないから持って行けと言われて渡された細身の槍を握りしめ駆けだした。
領主館の裏の植え込みにまぎれて様子を見てみると、館の正面の庭には飛竜が何匹も着陸していて、館の中からは口論のような大きな声が聞こえてきた。
俺はあたりの様子を窺うと裏口から館の中に身を滑り込ませた。
「だから言ったろう、今は王子は居ない。薬草畑の様子を見に行ったあとは村の子供と遊んだりして暗くなったら帰ってくるから出直しな」
レイニーの刺々しい声が響いた。
「貴様、王子に監視も付けてないのか!とんだ怠慢だな」
「はん、そんなもんここに着任して一度も付けたことないさ。それでもあの子は必ず帰ってきたよ。自分の立場がわかってるんだよ、アタマのいい子さ」
「ならばここで戻りを待たせてもらうぞ」
「勝手にしな!、だけどねぇ ワイバーンで村の真ん中まで乗り付けてくるたぁどういう了見だい?
家畜も村の皆も腰ぬかしちまうだろう。村外れに繋いできな!」
「いいだろう。パピヨン!2名連れてカパドキア城へ向かえ、ハンニバルには兵200を引き連れ、この村まで来いと知らせるのだ」
「いったい、どういうことだい!」
「この村の領主レイニーが謀反を起こしたので鎮圧せよとの勅命だ」
「ふざけんじゃないよ!
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