第三幕その四
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うことに希望を持っていた。
「ですから」
「わかった」
この言葉こそがデ=グリューが待ち望んでいたものであった。
「では君を見習い士官として船に入れよう。いいな」
「はい!」
彼は飛び上がらんばかりに喜んで声をあげる。そのうえでマノンを見た。
「マノン、これで君とずっと一緒だ」
「いいのね、私で」
マノンはデ=グリューに問う。流石に囚人なので駆け寄れはしない。
「私なんかで」
「君でなければ駄目なんだ」
またこの言葉を口にする。そのうえでマノンを見る。
「だからこそ」
「有り難う」
マノンはそう言って涙を流した。
「本当に有り難う」
「では見習い士官」
「はい」
艦長の言葉に応える。
「すぐに乗船し給え。いいな」
「わかりました!」
「船長よくやった!」
「あんたも話がわかるね」
「私もフランス人だ」
船長は市民達に粋を気取って応える。
「そういうことだ」
「これでいいか」
レスコーは喜んで船に乗り込むデ=グリューとそれを見送るマノンを見て呟いた。
「どうなっても。彼等は後悔しないな」
そう言ってその場を去った。だが彼は暫くしてデ=グリューと再会することになる。それは悲しい再会であった。
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