暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
全てが始まり、終わった場所
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
プレイヤー約一万人を収容しただけあってとてつもなく広い。

完全な円形の、石畳が敷き詰められた空間の中央には巨大な時計塔がそびえ、その下部に転移ゲートが青く発光している。

塔を取り囲むように、同心円状に細長い花壇が伸び、それに並んで瀟洒な白いベンチがいくつも設置されている。こんな天気のいい午後には一時の憩いを求めるプレイヤーで賑わってもおかしくないのに、見える人影は皆ゲートか広場の出口に向かって移動していくばかりで、立ち止まったりベンチに腰掛けたりしている者はほとんどいない。

上層にある大規模な街では、ゲート広場は常に無数のプレイヤーでごった返している。世間話に花を咲かせたり、パーティーを募集したり、簡単な露店を開いたりと、たむろする人々のせいでまっすぐ歩けないほどなのだが──。

──マーケットのほうに集まってるのかな?

そんなことをぼんやりと予測してみるが、しかし広場から大通りに入り、NPCショップと屋台が建ち並ぶ市場エリアにさしかかっても、相変わらず街は閑散としていた。

やたらと元気のいいNPC商人の呼び込み声が、通りを空しく響き渡っていく。

それでもどうにか、通りの中央に立つ大きな木の下に座り込んだ

男を見つけ、レンは近寄って声をかけてみた。

「ねえ、おじさん」

 妙に真剣な顔で高い梢を見上げている男は、顔を動かさないまま面倒くさそうに口を開いた。

「なんだよ」

「この近くで、尋ね人の窓口になってるような場所、ない?」

その言葉を聞いて、男はようやく視線をレンに向けてきた。遠慮のない目つきでレンの顔をじろじろと眺めまわす。その眼ははっきりとこう言っていた。

ガキがこんなとこで何やってんだ、と。

「なんだ、お前ェよそ者か」

「うん。ちょっと訳あって、この子の保護者を探してるんだけど……」

知らない男が怖かったのだろうか、レンの背後に回り、コートの裾を掴んでいるマイを指し示す。

クラスを察しにくい簡素な布服姿の男は、ちらりとマイを見やると多少目を丸くしたが、すぐにまた視線を頭上の梢へと移した。

「……迷子かよ、珍しいな。……東七区の川べりの教会に、ガキのプレイヤーが一杯集まって住んでるから、行ってみな」

「うん、ありがとう。おじさん」

思いがけず有望そうな情報を得ることができて、レンはぺこりと頭を下げた。物はついでと、更に質問してみることにする。

「ねえ、おじさん知ってる?ここって何でこんなに人がいないの?」

男は渋面を作りながらも、まんざらでもなさそうな口調で答えた。

説明好きなのだろうか?

「人がいない理由? 別にいない訳じゃないぜ。みんな宿屋の部屋に閉じこもってるのさ。昼間は軍の徴税部隊に出くわすかもしれ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ