暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
全てが始まり、終わった場所
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プレイヤー約一万人を収容しただけあってとてつもなく広い。
完全な円形の、石畳が敷き詰められた空間の中央には巨大な時計塔がそびえ、その下部に転移ゲートが青く発光している。
塔を取り囲むように、同心円状に細長い花壇が伸び、それに並んで瀟洒な白いベンチがいくつも設置されている。こんな天気のいい午後には一時の憩いを求めるプレイヤーで賑わってもおかしくないのに、見える人影は皆ゲートか広場の出口に向かって移動していくばかりで、立ち止まったりベンチに腰掛けたりしている者はほとんどいない。
上層にある大規模な街では、ゲート広場は常に無数のプレイヤーでごった返している。世間話に花を咲かせたり、パーティーを募集したり、簡単な露店を開いたりと、たむろする人々のせいでまっすぐ歩けないほどなのだが──。
──マーケットのほうに集まってるのかな?
そんなことをぼんやりと予測してみるが、しかし広場から大通りに入り、NPCショップと屋台が建ち並ぶ市場エリアにさしかかっても、相変わらず街は閑散としていた。
やたらと元気のいいNPC商人の呼び込み声が、通りを空しく響き渡っていく。
それでもどうにか、通りの中央に立つ大きな木の下に座り込んだ
男を見つけ、レンは近寄って声をかけてみた。
「ねえ、おじさん」
妙に真剣な顔で高い梢を見上げている男は、顔を動かさないまま面倒くさそうに口を開いた。
「なんだよ」
「この近くで、尋ね人の窓口になってるような場所、ない?」
その言葉を聞いて、男はようやく視線をレンに向けてきた。遠慮のない目つきでレンの顔をじろじろと眺めまわす。その眼ははっきりとこう言っていた。
ガキがこんなとこで何やってんだ、と。
「なんだ、お前ェよそ者か」
「うん。ちょっと訳あって、この子の保護者を探してるんだけど……」
知らない男が怖かったのだろうか、レンの背後に回り、コートの裾を掴んでいるマイを指し示す。
クラスを察しにくい簡素な布服姿の男は、ちらりとマイを見やると多少目を丸くしたが、すぐにまた視線を頭上の梢へと移した。
「……迷子かよ、珍しいな。……東七区の川べりの教会に、ガキのプレイヤーが一杯集まって住んでるから、行ってみな」
「うん、ありがとう。おじさん」
思いがけず有望そうな情報を得ることができて、レンはぺこりと頭を下げた。物はついでと、更に質問してみることにする。
「ねえ、おじさん知ってる?ここって何でこんなに人がいないの?」
男は渋面を作りながらも、まんざらでもなさそうな口調で答えた。
説明好きなのだろうか?
「人がいない理由? 別にいない訳じゃないぜ。みんな宿屋の部屋に閉じこもってるのさ。昼間は軍の徴税部隊に出くわすかもしれ
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