第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
眠る剣と女王の剣
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いて、引き上げてくれた人物を見る。
男性で長身の赤髪、その頭にはサングラスを付けており、首にネックレスをかけていた。だが手に持っている金棒のような鉄鞭に目を惹かれた。
身体を寄せられ、シキはボーっとその男の顔を見た。男はニヤリと笑いながらシキにこういった。
「これで貸し借りはなしだ」
「……」
声を出そうとしたシキだが、声が出ずに息を吐くことしか出来ない。
男はそれを見て、さらに満足そうに笑う。
「はっ、そこで見てろよ」
「何者……イや、お前ハ」
「ソウか、オ前はあノ女の飼イ犬だな」
「邪魔ヲすルな」
顔たちが動き出し、男を排除しようとする。
だが男は獰猛な笑みを浮かべて、鉄鞭を地面に振り下ろし、向かってくる顔たちを威嚇する。
「バカを言うな、お前らに奪わせるもんなんてない。それに……コイツには借りがある」
男の言っている意味が分からず、シキは動かない頭を必死に動かしながら今まで出会って来た武芸者を思い返す。だが、思い当たるものはなかった。
「あぁ、お前には訳が分からないよな。安心しろよ、その内嫌ってほど理解するぜ? 覚えておけ、おれの名前は……」
「消エろ、飼い犬風情ガ」
顔は一斉に男に向かって襲いかかる。
だが男がするのは単純な事だった。
腰を落とし、鉄鞭に込めた剄を一気に開放する。
男の身体が消え、光が軌跡を描く。その姿は話に聞く雷光のようであった。
「おれの名前はディック。強欲都市のディクセリオ・マスケインだ」
そこまで聞いて、シキは意識を落とし眠りについた。
血反吐を吐き、レイフォンは地面に叩きつけられた。
しかし、なんとか反撃しようと受身を取ろうとするが足に鋼糸が絡み、受身を取れずに地面を滑っていく。
今、戦っているのは空中庭園だ。落ちたら武芸者といえどもただでは済まない。
だが相手の容赦ない攻撃でレイフォンは落とされかけていた。なんとか体勢を立て直し、手で動きを止めたが、たった数分で息が切れていることに気づき舌打ちをする。
「ゼッ、ハァ……ゼッ」
「息を整える前に周りを見ろ。一面、クモの巣だぞ?」
レイフォンはその言葉を聞いて、一目散にその場から離れる。すると、一瞬前までレイフォンがいた場所に数本の鋼糸が巡らされていた。
訓練して一ヶ月、ようやく避けることができてきた。相手は手加減に手加減を重ね、手心まで加えているほどだが、それでも大躍進には違いないとレイフォンは思っていた。
「いいか、手だけで剄を通すな。身体全体で同じことをしろ、それまでは刀で修行するな」
「ハイっ!!」
鋼糸を避け、腕から通した剄で滑らせるように鋼糸を弾きながらレイフォンは返事をした。
相手、リンテンスは無愛想な目でレイフォンを見る。最近、それが基本だと気づけ
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