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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
眠る剣と女王の剣
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 デルクは刀の錬金鋼をレイフォンの前につきだした。
「シキとの戦いで全力を持って挑め。勝ってから、継ぐか継がないか決めなさい。お前も武芸者だろう、勝って掴んでこい」
 その言葉を聞いたレイフォンは刀を持った。
 負けたくない、そんな気持ちがレイフォンの背中を押した。
 勝って、シキを認めさせる。そう思いながら、刀を振るいレイフォンは勝った。だが、勝利したレイフォンに待っていたのは高揚感でも充実感でもなく、ただただ親友を斬ってしまったという後悔だけが残った。


「ではレイフォン・アルセイフ……いや、今日からはレイフォン・ヴァルフシュテイン・アルセイフか? 今日から君が天剣授受者だ」
「……」
 豪華な装飾、広々とした部屋、ここはグレンダン王の宮殿、そして女王の謁見室である。
 試合に勝ったレイフォンは女王から天剣を賜る栄誉を受けている。
 女王は御簾で顔を隠しているた。その手には数時間前まで握っていた天剣がある。
 受け取れ、と言っているのだろう。しかし、今のレイフォンにそんな栄誉は要らなかった、むしろ捨て去りたかった。
 それもそうだろう、親しい友の血で汚れた栄誉など誰が欲しがるのか。
 だが、女王は至極楽しそうにこういった。
「どうした? 友の血で汚れた天剣(コレ)は握りたくないか?」
「ッ!!」
 レイフォンの気持ちが一瞬で沸騰した。
 女王だということも忘れて、レイフォンは剄を練り女王に向かって駆け出そうとした瞬間、頭を掴まれ床に叩きつけられた。
 天剣でもっとも殺剄が得意であるカナリスがレイフォンに気づかれぬよう背後に回って取り押さえたからだ。レイフォンは荒く息を吐きながら、女王を睨みつける。
「そんな眼をしないでくれ、まるで獣だぞ」
「あんたか? あんたがあの戦いに天剣を放り込んだのか!?」
 八つ当たりだとレイフォンでも分かる。あの時の天剣がもしも女王の差金だったとしても、シキを容赦なく切り捨てたのは自分だとこの手が覚えているからだ。
 だが、女王はあくまでも楽しそうな声を崩さなかった。
「そうだ、と言ったら満足するか? あれは完全に予想外だった。まさか天剣自らが使用者を選ぶためにあんな行動に移るとは……」
「じゃあ、じゃあなんで最後、基礎状態に戻ったんだ!!」
「答えは簡単だよ、レイフォン。シキの剄力に天剣が耐え切れなかった」
 その言葉を聞いて、レイフォンは唖然とした。それもそうだろう、都市一つを破壊できる天剣授受者の剄を受けきる錬金鋼でも耐え切れないと断言されたのだ。
「それにな、レイフォン。耐え切れていたら、今頃立場は逆転していたと思うよ」
「あっ……」
 最後の鍔迫り合い、レイフォンは負けていた。勝ったのは運が良かっただけだとレイフォンはここで気づいた。
「今回は不幸
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