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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
眠る剣と女王の剣
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開け、規則正しくお辞儀しながら入ってきたのはミンス専属の執事だった。
「失礼いたします。ミンス様、こちらをご覧下さい」
「なんだ?」
 声に気持ちが乗り、荒くなってしまった。
 長年付き添う執事に当たりたくはなかったが、激情を全て飲み込めるほどミンスは大人ではない。
 執事は気にすることなく一枚の書類をミンスに手渡す。
 受け取ったミンスはそれを見て、笑みを深める。
「本当か?」
「えぇ、外傷は治っていますが意識のほうが戻っておりません」
「……そうか」
 ミンスは書類を指で弾いて言った。
「ではそのシキを囮に使おう。ただの孤児だ、仲が良いと言われてるが仮に死んでも大したことにならないだろうさ」
 ミンスは天剣授受者選定式には出席していなかった。つまりシキとレイフォンの戦いを人づてにしか聞いていない。聞いたとしても笑い飛ばしていたが。
 もしも、ミンスがレイフォンとシキの戦いを見ていたなら。もしも、シキを『シノーラ』が溺愛していると知ったなら。もしもレイフォンがミンスよりも優れた武芸者だと気付けたなら、ミンスは考えを変えたかもしれない。
 しかしミンスは気付けなかったし、気付こうとしなかった。
 結論だけ言おう、ミンスはシノーラ・アレイスラ……いやグレンダン女王、アルシェイラ・アルモニスの逆鱗に触れた。


「レイフォン、選べ」
 デルクはそう呟くと、目を閉じて一切口を開かなかった。
 天剣授受者を決める戦いの前夜、レイフォンはデルクと共に道場にいた。
 目の前には二つの錬金鋼、剣と刀だと思われる物が置かれていた。
「……」
 鈍感と言われるレイフォンでもさすがにわかった。決戦前夜にサイハーデンを継ぐか、継がないか聞いているのだろう。
 その考えに思い当たり、そしてシキの顔が思い浮かんだ。
 シキの方が強いとレイフォンは考えていた。なぜ自分に決断を迫っているのか、レイフォンには検討が付かなかった。
 だからレイフォンは質問した。
「なんで、シキじゃないんですか……」
「シキは……いや、あの子は一つの場所に留まれるような気質じゃない」
 デルクは懐かしそうな目で、レイフォンの質問に答えた。
 レイフォンが困惑していると、デルクは言葉を続けた。
「あの子は間違いなく武芸者としては最高位に上り詰めるだろう。だがな、あの子はサイハーデンを飛び出して、様々な武芸を習っている。そして、その影響かあの子のサイハーデンの技は変化している」
「……で、でも強いんだ、僕よりも」
「あぁ、強い。だが、あの子は弱い」
 レイフォンは疑問符を浮かべる。シキが弱いなど一度も思ったことはないからだ。
「あの子はお前が思っているよりも強くないさ。あの子はお前を羨んでいた」
「羨む? そんな、シキが……」
「レイフォン
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