第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
眠る剣と女王の剣
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いる。しかし濃すぎる血は弊害しか生まない。そこで王族たちは血を三つに分け、二代同士で婚姻をする方法が取られた。
アイシェラは天剣授受者であるティグリスのロンスマイア家とアルモニス家の間で生まれた。
上手くいけばグレンダン最強のアルシェイラ以上の武芸者が生まれる……はずだった。
だが現実はそうではなかった。十年前、あろうことかヘルダーは婚約者のアルシェイラを捨てた。
捨てた理由も前代未聞、家の侍女と駆け落ちしてしまうというものだった。駆け落ちした相手は、アイシェラに比べれば美も強さも劣った相手にも関わらず、ヘルダーはアルシェイラを選ばなかった。
聞伝えだが、子供も出来ていたそうだが死んだと聞いた。
怒るべきであろうアルシェイラ、しかし男女の情が薄い彼女は苦笑を示しただけだった。
順当にいけば次の婚約者には弟であるミンスが選ばれるはずだ。しかし未だにそういう話はない。
噂に過ぎないが、アルシェイラがヘルダーのことを未だに愛しているからだという話もあるが、だがミンスはそう思っていない。
むしろ逆だ。憎しみを抱いていると思っている。
自分を捨てたヘルダーを、そしてユートノール家を恨んでいるのだ。
アルシェイラの性格を熟知していれば笑い話ですんだかもしれないが、ミンスにとって笑い話では片付けられなかった。
なぜならミンスの両親はすでに死に、ユートノールはミンス一人きりだ。
ミンスが死亡した場合、そのあとにユートノールの名を継ぐのはミンスの父の兄弟ではない。
彼らの継承権が低い。三王家法に明記されている。
それならば誰がユートノール家を継ぐのか? 答えは簡単だ、残り二王家の当主の子供からとなる。
しかしアルモニス家当主であるアルシェイラには子がいない。
だがロンスマイア家には子供が数人いる。意外というかなんというか、若い頃のティグリスは節操なしだったそうで噂ではデルボネとも関係を持っていたらしい……あくまで噂だ。
アルシェイラは合理的にユートノール家を滅亡させる気だ。
そうでなければ、十二人目の天剣授受者に三王家の中で期待されている自分が選ばれてしかるべきだろう。
だが結果はどうだ? 実力を示す機会さえ与えられず、立場を孤児に奪われた。
策略であるとしか言いようがない……あくまでミンスはそう信じる。
「なら、わたしには考えがある」
考えが正しいのであれば、アルシェイラはミンスを近いうちに謀殺するだろう。
だがただで死ぬつもりなど、ミンスにはない。
「……その立場が絶対不可侵だとは思わないことだ」
追い詰められた鼠でさえ、猫を噛むのだ。
自分も生き残るために、牙を向いて何が悪い。
歳に似合わぬ凄惨な考えをしていたミンスを我に返らせたのは扉を叩く音だった。
扉が
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