第三幕その二
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難う・・・・・・」
彼女は牢の中で泣き崩れた。今になってようやく二人の心がわかったのであった。そのことが何よりも有り難いということを。今になって知ったのであった。
船の周りに市民達が集まって来る。そろそろ時間であった。デ=グリューとレスコーはその中に入って紛れ込む。マノンは牢から出され引き立てられて行った。
「静粛に」
船の前には普段レスコーが着ている軍服と同じものを身に纏った男がいた。それを見ると彼が下士官、それも軍曹であることがわかる。
「もうすぐ船長が来られるからな」
すると右手から水夫達を引き連れた立派な服の男が現われた。その服から彼が船長であることがわかる。いよいよであった。
「よし、いいぞ」
将校が一人軍曹のところに来て声をかけた。
「囚人を読み上げてくれ」
「わかりました」
軍曹はそれに頷く。そうして点呼をはじめた
デ=グリューとレスコーは群集の中に紛れ込んでいる。その中でまだ機会を窺っていた。
「きっと」
デ=グリューは決死の顔でマノンを見ている。
「助け出す」
「君はどうなってもいいのか?」
横からレスコーが囁いてきた。
「どうなっても」
「構わない」
彼の決意は変わりはしない。それは声の強さにはっきりと現われていた。
市民達は興味本位で囚人達を見ているその中には当然マノンもいる。
「色々いるな」
「そうだな」
彼等は完全に他人事だ。その顔でマノンも見ている。マノン相変わらず打ちひしがれた顔をしている。
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